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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その2★友情と愛情、どちらが大事?

  • 2014年01月16日  菱月 美琴  



    バレンタインデーまで、あと1カ月。ショップの特設コーナーでは、ハート型の可愛いチョコレートが山積みになり、女の子達で賑わい始めました。

    想いを伝える、年に一度のチャンス到来!

    そんな時、好きな相手が「友人とカブってる?」なんて経験、ありませんか?今回は、友情と愛情、どっちを選ぶ? という、究極の選択に迫ってみたいと思います。

     

     

    「それとなく紅き花みな友にゆづりそむきて泣きて忘れ草つむ」(山川登美子)

     

    山川登美子は、前回の短歌コラムでお話ししました与謝野晶子のライバル。

    師の鉄幹に、晶子は「白萩」、登美子は「白百合」と呼ばれ、『明星』で並び評されたスターです。晶子より一つ下の登美子は、晶子を姉のように慕っていたとも言われています。短歌や恋のライバルであり、大切な友人でもあったのですね。

     

    @この短歌、こう読みます。

    「短歌での名声や師への恋心そういう華々しいものはそっと友に譲って去ります。人知れず泣きながら忘れ草を摘んで」。

    「忘れ草」は、ユリ科の多年草。花言葉は「愛の忘却」「憂い・悲しみを忘れる」です。

    この後、登美子は親に決められた縁談で嫁いでいきます。

    明治の自由恋愛が珍しかった時代、親の意見は絶対、それは普通の事でした。

     

    A山川登美子ってどんな人?

    与謝野鉄幹が主宰する文芸雑誌『明星』の看板女流歌人の一人です。

    由緒ある武士の家柄に生まれ、大阪のミッションスクール梅花女学校に進学した才色兼備の女性で、師である与謝野鉄幹と歌友、晶子と運命的な出会いを経て、短歌の才能を開花させてゆきます。

    晶子より先に鉄幹と “恋仲”になったとも言われていますが、その辺は定かではありません。(3人の恋模様が気になる方は、渡辺淳一さんの『君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟(コクリコ)―与謝野鉄幹・晶子夫妻の生涯』にも描かれているのでお勧めです)。

    登美子の鉄幹への想いが高まる中、父親が縁談を勧めます。気持ちは大きく揺れ動きますが、結局、意に沿わぬ結婚に踏み切ります。しかし、夫は結婚後間もなく結核で病床につき、看病の甲斐なく2年後に病死。

    悲しみから救ってくれたのはやはり短歌でした。上京し、日本女子大学に進学、再び『明星』に短歌を発表します。そして晶子含む女流歌人3人による合同歌集『恋衣』を刊行。「白百合」と題する百三十一首の歌を収めています。

    その後、夫から感染した結核を発病。29歳の短い生涯を閉じました。

     

    Bこのシチュエーション、あなたならどうする?

    学生時代から仲良しだったA子さんとB子さんは、職場も同じで趣味も一緒。

    フットサルのサークルで知り合ったCさんを好きになります。

    お互い、「きっとCさんの事が好きなんだよね・・」と思ってはいましたが、なかなか言い出せずにいました。

    Cさんはどちらかに好意を寄せている風でもなく、平等に親切に接してくれていました。

    もうすぐバレンタインデー。

    積極的なA子さんは、思い切ってB子さんに打ち明けます。

    「私、Cさんが好きなんだ。バレンタインデーに告白しようと思っているよ」。

    B子さんはとうとうこの日が来たか・・と一瞬瞳を曇らせますが、明るくてキレイなA子さんに勝ち目はないと、とっさに身をひく気持ちを固めます。

    「そうなの、Cさん素敵だもんね。私もいいなって思っていたけど、A子ちゃんの方がお似合いだわ。応援するね。」

    バレンタインデーにA子さんはCさんにチョコを渡し告白、二人は付き合う事に。

    しかし、ここからB子さんの(本人は気付いていない)反撃が。

    一年後、すっかりCさんを諦めて、すっきりしたB子さん。Cさんとたまたま二人になった時にふと言います。「私、前、ずっとCさんの事好きだったんだよ。もう、諦めたけど・・」。

    微妙に倦怠期に来ていたCさんは、ドキッとします。(B子さんて、地味だけど、よく見ると可愛い・・・)

    男って、手に入らないモノに心惹かれるんですよね。

     

    C友情と愛情、天秤にかけたら?

    なるべくなら親友とは同じ人を好きになったりしたくないもの。でも、行動がいつも一緒だったり、趣味や考え方が同じだったりすると、異性の好みも重なりやすいですよね。 

    その時とるべきなのは、やはり、人間としての誠意に基づく行動だと思います。

    好きなものは好き、譲れない事は譲れないと、正面からぶつかり合えば、後々遺恨をのこさずに済みます。

    ズルして手に入れた恋なんて、長続きしないし、一生単位で考えたら、友人と男、どちらが人間として自分に大事かって事ですよね。行き着く果ては人対人なんです。

     

    D男は手に入らないモノが好き。

    もし、山川登美子が提出歌含む師へあてた恋の歌を発表することなく、花鳥風月調のみの歌で亡くなっていたとしたら、多分、後々まで語り継がれる事は無かったでしょう。当時、この一連の恋歌に鉄幹は胸を熱くし、登美子への未練たらたらの短歌を残しています。

    一途で深い恋心は、ちゃんと届いていたのですね。結婚することで恋愛部分のみではなく、生活も背負った晶子はこの友の存在に苦しんでいます。男にとって手の届かない、はかなげな花は何より魅力的だった事でしょう。

     

    E身も心も手に入れたい。

    それでも、女性と生まれたからには、プラトニックな想いだけではなく、いつも隣にいてくれる恋人が欲しいですよね。そして相手には恋心も末永く持っていてもらいたいですよね。

    そんな時は、押してばかりではなく、すっとひいてみるのも一つの手です。もちろん、ひいたままにせず、ここぞという時に、思いをきちんと伝える事が大切です。

     

    「永遠を手に入れるためふれぬ雪」