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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その8★隠し切れない想い…平兼盛

  • 2014年02月27日  菱月 美琴  



    そろそろ卒業シーズンがやって来ますね。思い出すのは学生時代、片想いだった恋の数々。好きな人の事を考えるだけで、頭がボーッと熱くなり、瞳はトロ〜ンとなっていたり。「最近、様子が変だけど、好きな人でも出来たの?」なんて、周りに悟られてしまった経験、有りますよね。

    隠し切れないせつない恋心を歌った、とっておきの一首をみていきたいと思います。

     

    「しのぶれど色に出でにけり我恋は物や思と人の問迄」
    (引用:『小倉百人一首・40番』より)

     

    @この短歌、こう読みます。

    「心に秘めて隠して来たつもりなのに、どうやら表情や態度に、にじみ出てしまっているらしい、私の恋心は。「恋煩いでもしているのですか?」と、人に尋ねられるまでになってしまった。」

     

    「しのぶ恋」といっても、どこか初々しい感じもしますね。片想いでも、両想いでも解釈出来そうな歌です。まず、片思いだったら、周囲には何となく隠しているつもりなのに、好きな人を目で追ってしまったり、ぼんやり物思いに耽ってしまったり…と、そんな様子。

    また、両想いの少しヘビーな解釈としては、道ならぬ恋とか。どうしても周囲に隠さなければならないのに、やはり、その恋の事ばかり考えてしまって、思い詰めた表情をしていたり、ため息をついたりして、周囲に気付かれてしまう…等。どちらにしても、様々な立場で共感出来る、解りやすい一首ですね。

     

    A平兼盛のこと。

    平安時代中期の男性歌人です。(三十六歌仙の一人)。光孝天皇の玄孫という高貴な身分ですが、臣籍に下って平氏を名乗りました。後撰集の頃の代表的な歌人で、同じく百人一首に入っている、赤染衛門の父という説もあります。(兼盛が妻と離婚した時、妻は既に妊娠しており、再婚後に娘を出産した為、娘の親権を主張して裁判で争ったが認められなかった…という逸話が残っています)。

    「しのぶれど…」の歌は、村上天皇が開いた「天徳歌合」の「忍恋」の題で詠まれ、

    壬生忠見(みふのただみ)の「恋すてふ」の歌と競い合いました。どちらも秀歌であり、判定が難しく弱り果てた所、天皇がさりげなくこの歌を口ずさんだ事で勝った…という話が伝わっています。(壬生忠見の歌は百人一首の41番に収録されています。)

    勝敗について、勝った兼盛はあまり執着せず、負けた忠見はこれが原因で拒食症になり亡くなった…という伝説もあり(真偽の程は不確か)、歌合せが真剣勝負だった事が窺えますね。

     

    Bボサボサ子とのっぺりさんの変貌。

    ミニコミ誌の編集部。30代前半の独身女性ばかりの職場です。朝から晩までパソコンに向かう毎日。その中でも仕事の出来る、この二人はかなりのツワモノでした。

    寝起きのまま会社に来る、通称「ボサボサ子」こと、A子さん。ロッカーはカップラーメンの山で、開けると雪崩が起きるため、食事時以外は固く閉ざされています。

    お化粧するのは盆暮れ正月位という、通称「のっぺりさん」こと、B美さん。デスクの下に寝袋を仕舞い、徹夜時は床で仮眠をとるという日々。

    他の皆も、仕事着はジーンズにTシャツ。揃えた訳ではないけれど、皆が皆、黒系の地味目な色合いを好む為、何となく編集部の空気まで、グレーがかっていたのでした。

     

    ある日、その職場に新人社員が配属される事に。希望に燃えキラキラした瞳を持つ、Cさんです。23歳独身、彼女無し。キレイな顔立ちの長身の彼。

     

    職場の空気がほんの少しずつ、変わり始めます。まず、ぽつりぽつり、スカートを履いてくる人が現れ、デスク周りも整理整頓されるように。

    中でも目に見えて変化が現れたのはあの二人でした。

    A子さんの髪は整えられ、ほんのりよい香りを漂わせています。デスクでとる食事も、カラフルな手作り弁当がちらほら登場。さりげなく、お料理出来る&経済観念しっかりしているアピールだったり。

    B美さんも負けてはいません。もともとあっさり顔ではあったのですが、整った顔立ちだった為、アイメイクとやや濃いめの口紅で、何だか別人の美女に。

    足元の寝袋は片付けられ、「お肌に悪い」という理由から、残業もホドホドになったのでした。

    何となく華やかになった編集部。ですが、不思議に各々の仕事の質は向上します。Cさんに寄せる「しのぶ恋」の想いが、彼女たちをイキイキさせ、日々に張り合いを持たせ、やる気まで起させたのです。恋心ってすごいですね!

     

    C平凡な毎日に彩り。

    片思いでも、両想いでも、恋心を持つのは素敵な事ですよね。恋を忘れてしまうと、日々に潤いが無くなってしまいます。自分自身を顧みなくなり、“女である事”まで疎かになっていたり…。本当、恋心が女を磨いてくれるんですよね。「色に出にけり」って、とてもよい事なのではと思います。

     

    D身だしなみはOK?

    恋はどこからやってくるのか解りません。数時間後に運命の人に出会ってしまうかも。

    だから、受け入れ体制は万全にしておくに越した事はありませんよね。心に余裕を持った生活をして、女性らしさを忘れず身だしなみを整えておきましょう。

     

    「恋でもしているの?」って、実はほめ言葉。

    さらにキレイになれるような、素敵な恋が訪れるといいですね。

     

    「目で追えば視線ぶつかり夢見月」