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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その10★プライドの高い女A 紫式部

  • 2014年03月13日  菱月 美琴  



    プライドの高い女のひとの中でも、厄介なのが「マグマ系プライド女史」。一見温和で優しげな雰囲気を身にまとっているので、中々本心の煮えたぎる想いにまで触れられません。

    でも、コツを掴めば案外普通の女の子より付き合いやすく、刺激になるかも。

    平安の「マグマ系」代表、紫式部についてみていきたいと思います。

     

    「めぐり逢て見しやそれ共分ぬまに雲がくれにし夜半の月影」
    (引用:『小倉百人一首・57番』より)

     

    @この短歌、こう読みます。

    「久しぶりにめぐり逢えたのに、その方だとよく解らないままに、あっという間に帰ってしまいましたね。まるで、雲隠れした夜半の月のようです。」

    詞書には幼友達に宛てた歌となっています。束の間の訪問を懐かしみ名残惜しく思って詠んだという事ですが、歌だけでみると、つれない恋人へ宛てたものとも読めます。

    夜、久しぶりに来たと思ったら、さっさと帰ってしまうのね…というような。

    名残惜しさを詠みつつ裏返せば、「私に逢いに来るのなら、優先的にちゃんと予定を組んで、十分な時間を取って来て欲しい。」という、ちょっと高飛車な感じが漂っているような気がするのは、考え過ぎでしょうか。

     

    A紫式部のこと。

    平安時代中期を代表する女流文学者です。(中古三十六歌仙の一人)。『源氏物語』の作者として有名です。本名は諸説ありますが、源氏物語の登場人物、紫の上からとった「紫式部」で定着しています。父親は中流貴族の藤原為時、学者で詩人でした。母親は幼少期に亡くなっています。

    親ほど年の離れた藤原宣孝と結婚し、娘を出産。やがて夫と死別し『源氏物語』を書き始めたそうです。才媛として認められ藤原道長の娘、一条天皇中宮彰子のもとへ宮仕えをするようになります。道長の愛人であったという説もありますが、真偽の程は解りません。

    並び評される清少納言とは、宮仕えの時期がずれており、実際には会っていないのではないか…と言われています。(一条天皇をめぐり、仕えていた姫同士はライバルというポジションでしたが。)

     

    B実は似ている。

    A子さんは同僚のB子さんが嫌いでした。何をするにも得意げで自信満々の姿は滑稽でもありました。よくよく聞いてみると、大した事を言っていないし、やる事なす事結構薄っぺら。なぜ、他の人達はそれに気付かず、いちいち感心しているのかしら…。A子さんはそれが嫌でたまりませんでした。

    A子さんの趣味はミニシアター巡り。ある日、いつものように仕事帰りレイトショーで映画を観ました。短編だけど、よく出来ていて感動…。ハンカチで目頭を押さえながら出口へ向かうと、これまたハンカチを手にしたB子さんの姿が。

    「A子さんもマニアックだね!」涙目のB子さんが笑いかけて来ました。何故か、嫌な気がしませんでした。話し込んでみると、随分と趣味が似ている事がわかりました。「A子さんって、何考えてるのか解らなくて、とっつきにくい印象だったけど、全然違うんだね!」B子さんはあっけらかんと言いました。

    A子さんは、素直に何でも話してしまうB子さんの自由さが、ちょっと羨ましかったのかもしれない…そう思いました。

     

    C「あるべき姿」に囚われた、かわいそうな人。

    マグマ系のプライド女史は、「〜こうあるべき」という姿に縛られています。目立つ事を恐れて才能を隠している為、開けっ広げで自慢げな人達にはとても批判的です。

    紫式部は日記に辛口な人物評を残していますが、特に清少納言へは、痛烈な悪口ともとれる内容の事を書いています。

    現代風にアレンジして解釈すると、「清少納言はとても自慢げで、才女ぶって漢字を書き散らしているけれど、よくよく見れば足りない点も多く大した事ありません。この様に自分は特別だと虚勢をはる傲慢な人は、あとあと必ず見劣りがして、ろくな最後迎えないでしょう。」…云々。

    言われている清少納言より、紫式部のヒステリックな書き様の方が気に掛かります。

    人目に付かないと思って書いた悪口が、千年先の後世まで残ってしまったという例。…恐ろしいですね〜。

    (実は一方的に紫式部が悪い訳ではなく、清少納言の『枕草子』に、紫式部の夫や従兄への悪口が書かれていて、それもふまえての悪口返しな訳ですが。)

     

    D気が済むまで聞いてあげる。

    秘めた自尊心の為、何かと溜め込んでいるマグマ系女史。沸々と湧き上がるエネルギーは計り知れず、うまく道を作ってあげれば、それらを美しく昇華させ、『源氏物語』のような壮大な恋物語をうんでしまうかもしれません。

    怖い反面、才能に恵まれピュアで不器用な人が多かったりします。そんなマグマ系女史に恋をしてしまったら、じっくり話を聞いてあげて下さい。そしてその才能を認めて、ほめてあげて下さい。そうすれば心を開いてくれて、誰にも見せた事の無い、深い想いにふれる事が出来るでしょう。そこからかけがえのない絆がうまれるかもしれません。

     

    「春の月聞いてほしいと言えなくて」