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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その11★恋から愛への魔法 権中納言敦忠

  • 2014年03月20日  菱月 美琴  



    晴れて身も心も一つになったのに、愛へと深まる関係と恋止まりで終わってしまう関係があります。「もっと逢いたい」と、「もう終わり」…その違いは何でしょう?

    次へ繋いでさらに深める、魔法の恋のテクニックってあるのでしょうか。

    恋わずらい真っ只中、平安のモテ男、権中納言敦忠の歌から探ってみたいと思います。

     

    「あひ見ての後の心にくらぶればむかしは物をおもはざりけり」
    (引用:『小倉百人一首・43番』より)

     

    @この短歌、こう読みます。

    「身も心も一つになってから、私はより一層恋心を募らせています。片思いしていた頃は、あなたを抱きしめる事が出来たら、この苦しい想いは消えるだろうと考えていたのに。片恋の苦しみさえ何も考えていなかったと思える位、今はあなたへの恋情で様々に悩み苦しんでいます。」

    平安当時は通い婚がスタンダードで、一夜を共にした後、男性から女性へ後朝(きぬぎぬ)の和歌などを贈る習慣がありました。

    恋人同士と言っても、その関係性は不安定。何人も愛人がいるというのはザラで、女性はひたすら恋人の訪問を待っていました。「また来てくれるだろうか」「他の女性の元へ行ってしまうのではないだろうか」と常々思い悩んだようです。

    恋人とのはじめての夜の後、この和歌が贈られたら、女性はとても喜んだでしょう。相手を思いやる、男性側の優しさが垣間見えますね。

     

    A権中納言敦忠のこと。

    平安時代中期の歌人で公家です。名前を藤原敦忠といいます。(三十六歌仙の一人)。母は天下のプレイボーイ在原業平の孫。

    容姿端麗で和歌や音楽(管弦)に秀でており、ロマンチスト、性格も良かったようです。惜しい事に38歳という若さで亡くなります。数々の女性との恋歌のやりとりが残っています。

     

    B魔法がとける。

    Bさんは隣で寝ているA子さんをまじまじと見ていました。付けまつげが片方とれて、描いた眉も半分消えている。素顔と化粧した顔とのギャップ。床に落ちている下着は、サイボーグの脱皮後のようで、胸のあたりが自立しちゃっている。スタイルの良さも演出か…。

    「あっ、おはよー」。慌てて起きたA子さんでしたが、全てを見られてしまいました。

    パタパタと化粧し直し、矯正下着を身に付けて、元のイイ女に戻ったつもりが、時すでに遅し。

    Bさんはサーッと自分の気持ちが醒めて行くのが解りました。

    A子さんは「ねえ、こうなったんだから、私達、恋人だよね。」「次はいつ会える?」矢継ぎ早に質問してみましたが、Bさんの答えは「ごめん…」。

    「え、なにそれ? これで終わりって事? ひどいじゃない!!」。A子さんは怒り狂いましたが、「いいわ。別に。私、キレイだから、言い寄る男なんて、いくらでもいるし。」携帯電話を握りしめ、出て行きました。

    Bさんは魔法がとけてゆくのを感じていました。営業先の高嶺の花、A子さんに想いを寄せて、やっと叶った一夜でしたが不思議と恋心は消えていました。

    「すっぴんでも愛おしいと思える人とそうでない人がいる。今となってはA子の事をなぜあんなに好きだったのか、よく解らないや…」Bさんはぼんやりそう思いました。

     

    C容姿ばかり気にしている人は飽きられる。

    「美人は3日で飽き、ブスは3日で慣れる」とはよく聞きますが、美人だからと言って、それだけで恋心を向かわせ続けるのは無理があります。最新のメイクテクニックで、好みの顔に、ある程度は近付いてしまう今日この頃。次に繋げる為にはどうしたら良いのでしょうか。

    キーワードは、「節度」と「距離感」。

    「節度」…素顔からほど遠いメイクをした所で、いつかはバレてしまいます。あまりにもそのギャップが激しいと、かえって恋が醒める原因になってしまいます。自分のチャームポイントを知り、いかすようなメイクを心掛けて下さい。男性は流行の派手目のメイクより、清潔感のある品の良いメイクの方が総じて好みです。

    「距離感」…一度男女の関係になったからといって、全て受け入れろと言わんばかりの行動は慎みましょう。相手への思いやりと一定の距離感を保ち、ミステリアスな部分を残して、「自分」を小出しにしていくのが効果的なテクニックです。

     

    D味わい深いひとになる。

    権中納言敦忠は、数々の恋をして、叶わない恋に悩んだりもしましたが、反面、妻をとても慈しみ大切にしていたともされています。

    自分が短命である事を予知して、自分の家令が妻の夫となる事を予言したという逸話が残っています。愛する人の未来を心配して、幸せになってもらいたいという思いが「予言」という形になったのかもしれません。

    心と心がしっかり繋がっていれば、見た目どうこうはそう問題にならないような気がします。更に更に愛を深めてもらえるような、味わい深いひとを目指したいですね。

     

    「一度だけならばサヨナラ春の風」