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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その17★不倫今昔…元良親王

  • 2014年05月01日  菱月 美琴  



    会社の上司と部下、学校の先生と生徒、人妻と年下男・・・等々、世にあふれる「不倫」話は身近にもゴロゴロ転がっています。実際、行動を起こすか起こさないかは別として、感情面では一つや二つ、「不倫」の危険ゾーンに踏み込んでいたりする人も多いのでは。
    平安のマメ男、元良親王(もとよし)親王のような情熱的な歌を贈られたら、道ならぬ恋に落ちてしまうかも?! 千年昔の魅惑的な不倫の世界を、覗いてみたいと思います。
     
     
    「わびぬれば今はた同じ難波なる身をつくしてもあはむとぞ思ふ」
    (引用:『小倉百人一首・20番』より)
     
     
    @この短歌、こう読みます。
     
    「(不倫の噂が立って)罪の深さに悩み苦しむ気持ちと、あなたにお逢いできずに想い苦しむ気持ち、どちらも同じ苦しみならば、いっその事、難波潟に立てられている” 澪標(みをつくし)”の杭のように、この身を滅ぼしてでも、あなたにお逢いしたいのです。」
     
    宇多上皇のうら若き后、京極御息所(藤原褒子(ほうし))との密通(不倫の恋)が世に知れ渡り、謹慎させられた時に詠んだ歌と言われています。一夫多妻制が普通で、結婚自体がゆるやかなしばりだったこの時代ですが、元良親皇は宇多上皇の娘を妻の一人にしており、いわば、義理の父の若い妻に手を出したという事になります。
    また、宇多上皇の方も、京極御息所は、最初、息子の嫁に・・という話だったのに、かなりの美女だった為一目惚れし、息子にやるのが惜しくなり自分の妻の一人にした・・といういわくつき。物語ではなく実際にあった事というのが驚きです。何でもアリのドロドロっぷりが怖いですね。(源氏物語にもエピソードとして取り入れられています。)
     
     
    A元良親王のこと。
     
    平安時代中期の歌人。陽成天皇の皇子ですが、父親が退位した後に生まれた為、生涯皇位とは無縁でした。しかし出世し、三品兵部卿にまで昇りました。
    風流を好み、かなりのプレイボーイ。恋の贈答歌は30人余りと交わしていたそうです。
    「美しい娘がいる」と聞けば、逢う逢わないは別として、取りあえず手紙を書いてみる・・という、マメ男。
    この方も光源氏のモデルの一人です。(こうして見てくると、源氏物語の主人公は、平安のモテ男を集めて出来た、超理想形のモテ男だった事がわかりますね。)
    その元良親王が特に執心した京極御息所は、宇多院に献上された河原院に住んでいました。(宇多上皇と京極御息所が愛し合っていたある夜、河原院の元の持ち主、河原左大臣が幽霊となり宇多上皇にまとわりつき、御息所は気を失ったという逸話が残っています。)
    また、京極御息所の魔性の美女ぶりは相当だったようで、生涯女性と関係を持たなかった90歳の名僧、志賀寺上人さえ恋狂いにさせてしまったそうです。
    どんな美女だったのか・・とても興味が湧きますね。
     
     
    B親友の彼氏。
     
    A子さんは、親友の彼氏、Bさんを好きになってしまいました。日に日に強くなる気持ちに苦しくもありましたが、友情もとても大切だったため、打ち明ける事は出来ませんでした。
     
    ある日、親友から呼び出しが。
    「私、Bと別れた」と、言うなり泣き出しました。
    聞けば、他に好きな人が出来たと。誰なのかは言わなかったそうで、ただ別れたいと頑なに言われたのだそうです。
    「どうしようもない、もう、忘れる」。親友は泣き続けました。
    同情と共に心の底に湧き上がる、ふわふわした感情。A子さんは自己嫌悪に陥りました。
     
    暫く経ったある日、Bさんから電話が。「会って話したいことがある」と言われ、喫茶店で待ち合わせる事に。Bさんは神妙な面持ちで現れます。
    A子さんを好きになってしまった事、出来れば真剣に付き合いたい事等…ぽつりぽつり話してくれました。
    A子さんは内心、とても嬉しかったのですが、同時にひどい罪悪感が・・。
    「返事はよく考えてでいいから」。Bさんは立ち去りました。
     
    数日後、同じ喫茶店で会う事に。A子さんが出した答えは・・NOでした。
    「これから先の人生に、親友が居なくなる事の方が辛い。なので、さようなら」。
    Bさんは寂しそうに頷きました。私、まだこの人の事、好きなんだ・・とA子さんは思いましたが、黙ってその場を立ち去りました。背負うものの大きさに、負けてしまった恋でした。
     
     
    C他人のモノは二割増し。
     
    安定した関係が続くと、どうしても新たな刺激に走りがち。
    ゆるされぬ恋…というだけで、燃え上がってしまう事もありますよね。
    「身を滅ぼしても逢いたい」と願った元良親王は、特にその後ひどい目にあったとは伝わっていませんし、不倫相手の京極御息所も、宇多上皇との間に3人の子を成し、宇多上皇を想う歌をしたためています。不倫は一時の情熱だけだったのかもしれませんね。
     
     
    Dそれでも「運命」ってある。
     
    不倫は全否定・・というわけではありません。
    不倫の関係から始まった恋でも、生涯添い遂げ深く愛し合った人達も数知れません。要は相手が「運命の人」なのか、見極める事が大事ですよね。
     
     
    「ひとの妻美しくあり四月尽」