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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その18★父を越えたい男達…寺山修司@

  • 2014年05月05日  菱月 美琴  



    五月、ゴールデンウイーク中、長いお休みを満喫している人も多いのでは。家族との関わりも自然と深まる休暇中の様子から、彼の心の内を読み解く事が出来るかも? 
    月曜日のこのコーナーでは十七文字の俳句から、恋愛にまつわるあれこれを考えてみたいと思います。まずはじめに、五月と言えばこの句、寺山修司の作品から。
     
     
    「目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹」
    (引用:寺山修司著『花粉航海』より)
     
     
    @この俳句、こう読みます。
     
    読み方は「めつむりて いてもあをすぶ ごがつのたか」です。文語の「統(す)ぶ」という言葉が難しいですが、そう読ませる事によって、俳句全体の格調が高くなっていると思います。「吾(あ)」=「私」なので、意味としては「私を支配する」というイメージ。
     
    五月の青く高く澄んだ大空を、一羽の鷹が大きな翼を広げて、ゆっくり優雅に飛んでいる。それを見上げる私(青年)は、強い憧れから、身も心も遥か上空にいる鷹に支配されている…そんな感じでしょうか。十代の早熟な寺山修司が作った、完成度の高い俳句です。
    鷹は本来、冬の季語。「五月の鷹」というのは、作者の心象風景で、深読みするなら偉大な父性の象徴でもあります。
     
     
    A寺山修司のこと。
     
    昭和10年(1935)青森生まれ。詩人、劇作家。「天井桟敷」主宰。他に歌人・俳人・小説家・映画監督…等々の顔があり、「言葉の錬金術師」と言われました。父親は特別高等警察官、修司が5歳の時に出征、9歳の時、セレベス島で戦病死しています。
    中学時代から俳句にのめり込む、早熟な文学少年でした。
    早稲田大学教育学部国文学科に入学、短歌の世界に没頭します。18歳、第2回短歌研究50首詠(後の短歌研究新人賞)受賞。ラジオドラマの脚本、戯曲、シナリオ執筆等々…と活躍の場を広げました。47歳、敗血症で逝去するまで、多くの作品を世に遺しました。
     
     
    B玉の輿に乗りたかったのに。
     
    恋愛と結婚は別、と考えていたB子さんは、そろそろ結婚相手を探していました。
    そんな時、友人の紹介で知り合ったAさん。地元の大企業の社長の長男です。
     
    過去の恋愛ではダメ男とばかり付き合って来たB子さん。事故を起こした彼の借金を被ったり、ねずみ講にひっかかった彼の後始末をしたり…と散々でした。
    世話好きで、ついつい問題有りのヤサ男に心動かされて来ましたが、20代後半、アラサーと呼ばれる年代に突入し、結婚を強く意識し始めた時、「これではダメだ」と真剣に思いました。将来を考え、両親等、周りの為にも「ちゃんとした人」と結婚したかったのです。
     
    Aさんとのはじめてのデート。物腰柔らかで長身、学歴も育ちもよく、何より「地元大企業の跡取り息子」という優良独身男。
    Aさんも、しっかり者で可愛いいB子さんを気に入り、結婚までとんとん拍子に話が進みました。盛大な結婚式。新婚旅行はヨーロッパ一周。全てが思い通りでした。
     
    十数年が経ち。
    B子さんは「地元大企業の社長夫人」にはなっていませんでした。
    日中はガソリンスタンド、夜は居酒屋でバイトという、超ハードスケジュールで働きづめでした。結婚後数年は、父親の会社で働いていたAさんでしたが、「俺は父親と同じ道を歩みたくない。もっと大きい仕事がしたいんだ」と、弟に会社を任せ、起業したのでした。そしてやる事なす事失敗の連続・・。
    プライドが高い為、弟に助けは求められず、父親は既に他界。遺産も食い潰してしまいました。
     
    現在のAさんは「自称:会社社長」として、自宅の一室で細々ネット通販の仕事をしており、生活費の殆どはB子さんに頼っていました。
     
    「何も変わらなかったな・・。年取ったって事以外は」。B子さんは水仕事で荒れた手で、目の下のクマと、深く刻まれたほうれい線に触れながら、そう思いました。
     
     
    C父親との関係が人格形成に大きく影響する。
     
    父親が偉大過ぎたり、厳し過ぎたりすると、育てられた子供の人格形成に、大きく影を落とします。子供は同性の親を見本に育ちます。そして大きくなると身近な「ライバル」としても見てしまうんですね。
    偉大な父親がいる場合、目標をはるかに高く設定して、それに届かないと大きく挫折感を味わい、「自分はダメな人間だ」とか「父親には及ばない小さい人間」って、思ってしまうようです。普通から考えたら、そんな事、全然ないんですけどね。
    また、影が薄過ぎたり、甘やかし過ぎたりする父親も危険です。見本が弱弱しい為、成長していくうちに、自分がきちんとしなければと気負い過ぎてしまうようです。適正なSOSのサインの出し方が解らず、やがていっぱいいっぱいになってぷっつり・・なんて事も多々あるそう。
     
     
    D彼の父親を観察してみよう。
     
    好きな人が現れたら、出来れば付き合う前、又は付き合いの浅い頃に、相手の父親に会ってみましょう。
    見本あるいは反面教師として、彼が大人になるまで身近に居た同性の親との関係を見るうちに、彼の知られざる一面や、心の底にあるものが見えてくるかもしれません。
    これから先の長い付き合いの中で、トラブルに見舞われた時、対処の仕方のヒントがあるはず。
    「褒めて伸ばす」作戦で行くか、「ガツンと喝を入れる」作戦か、見極める事が出来るかもしれません。
     
     
    「決めるなら親を見てから鯉幟」