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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その24★愛は奪うべし…三橋鷹女@

  • 2014年05月26日  菱月 美琴  



    世の中は毒舌ばやり。良し悪しはともかく、言い切られてしまうと、何かスッキリしたり。
    「愛は奪うべし」そんな風に助言されたら、思わず「そうだよね!」って、言ってしまいそう。反感を恐れず、潔く格好良い俳句をたくさん作った、三橋鷹女の作品を見て行きましょう。
     
     
    「鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし」
    (引用:三橋鷹女著『白骨』より)
     
     
    @この俳句、こう読みます。
     
    読み方は「しゅうせんは こぐべし あいは うばうべし」です。
    「鞦韆(しゅうせん)」は、ブランコの事。春の季語です。
    標語調に言うなら「ブランコは漕ぐ事。愛は奪う事!」そんな感じでしょうか。
     
    春の夕暮れ時に、何となく漕ぎ出したブランコに乗る若い女性。恋に悩んでいるようです。ブランコは段々と勢いを増し、力強く漕いでいきます。その内に沈んでいた女性の顔も前を向き、何かを吹っ切ったようにも見えます。
    その様子を少し離れた所で見守る、年配の女性。若かりし日の自分を思い出しています。
    「ブランコは思いっきり漕ぐもの。愛は奪っていいもの!」心の中でエールを送ります。
    この俳句から、そんな情景が浮かびました。
     
     
    A三橋鷹女のこと。
     
    1899年、千葉県生まれ。昭和期を代表する女性俳人。中村汀女・星野立子・橋本多佳子と共に4Tと呼ばれました。歯科医と結婚、夫から俳句の手ほどきを受けます。作品は前衛的で、表現の激しさ、潔さが傑出しています。
    第四句集『羊歯地獄』の自序「一句を書くことは 一片の鱗の剥脱である 四十代に入つて初めてこの事を識つた…(略)」が、個人的にとても好きです。興味がある方は調べてみて下さいね。
     
     
    B「私達、友達だよね」の罠
     
    某大学の事務局で働くA子さん。独身女性ばかりの職場では、新しく入った講師Bさんの話題でもちきりでした。
    某有名大学卒、長身で整った顔立ち、性格も気さくで、言う事なしのイイ男。
    A子さんは仕事の都合上、話す機会が多々あり、皆に羨ましがられていました。
    そんな中でもC美さんのBさんへのアプローチは鬼気迫るモノがありました。
     
    「あのさ、A子はBさんの事、どう思っている? 私、Bさんの事、本当好きなんだよね」。
    「そうなんだ。私は別に…」。
    「じゃあ、応援してくれるよねっ。友達だもんねっっ!」。
     
    (え、私達、友達だったっけ…。職場では、挨拶程度の仲だったはず…)。
    A子さんはC美さんの押しつけがましい笑顔に圧倒され、ちょっとひいてしまいました。
     
    日々の仕事や職場の行事等、何かにつけてBさんの近くには常にC美さんが張り付いていました。A子さんは時々Bさんの視線を感じる事が有りましたが、近付くことは出来ませんでした。
    それでも一緒に仕事をする内に、Bさんの人柄にふれ、段々気持ちが傾いて行きました。
    「私もBさんの事、好きになってしまったんだ」。内心、A子さんは思いましたが、言葉や態度に表すことはありませんでした。
     
    ある日、A子さんはBさんと二人きりになる機会が。
    「いつも丁寧な仕事、ありがとう。今度、食事でもどうかな?」。
    Bさんの思いがけないデートのお誘い。C美さんが遠くの方から、ものすごい形相でこちらを睨んでいるのが解りました。
    (私達、友達でしょ!!)。そう言っているようにも見えました。
     
    A子さんはさっと目を伏せてから、一呼吸置き、しっかりとBさんの目を見つめて、
    「ありがとうございます。喜んで」。と言いました。
    (C美さんの事、裏切る形になってしまったけれど、やっぱり、私もBさんが好き)。
    これから職場で起こるだろう、女性同士のゴタゴタを思うと、少しナーバスな気分にもなりましたが、乗り切るだけの強い気持ちがありました。
     
    C美さんの、「私達友達」という牽制作戦は、まんまと外れたのでした。
     
     
    C本当に欲しいものは何?
     
    このような場合、「嫌な女」は、圧倒的にA子さんです。「友達の好きな人を盗った」&「応援するフリをして、自分が誘われたら速攻OKした」という事実なワケで。
    でも、A子さんの選択は正しかったと思います。
    身の回りに「私達友達」作戦を乱用している人っていませんか? それに乗せられて罪悪感を抱くなんて、全くバカバカしいと思います。好きなら遠慮は無用、「愛は奪うべし」なのです。
     
     
    D大切な人か見極めて。
     
    もちろん、「好きになっちゃったから、奪ってしまってオールオッケー」なワケはありません。人間関係がそれこそ複雑になってしまって、自分で自分の首を絞めてしまう事にもなり兼ねません。
    その人が、自分にとって、本当に大切な人なのか、じっくり見極める事が大切ですよね。
     
    「初夏の風 奪った男と手をつなぎ」