TOP > イククルコラム > ★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その26★嫌いなモノは嫌い…三橋鷹女A

★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その26★嫌いなモノは嫌い…三橋鷹女A

  • 2014年06月02日  菱月 美琴  



    人に気を遣うあまり、なかなか自分を出せずにストレスを抱えてしまう…。この時季、そんな人も多いのでは。
    また、恋愛中の人は、相手に嫌われまいという感情が先走り、自分を押し殺してしまいがち。「嫌なものは嫌」と、はっきり言えたならどんなに楽でしょう。
    自我が強く勝気、でも不思議とクセになり、読んでいるこちらもスッキリする、鷹女の俳句を見ていきましょう。
     
     
    「夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり」
    (引用:三橋鷹女著『向日葵』より)
     
     
    @この俳句、こう読みます。
     
    読み方は「なつやせて きらいなものは きらいなり」です。
    季語は「夏痩」。
     
    夏、暑さに食欲が無くなり、自然と体重が落ちていきます。好きなものでも食べたくないのに、嫌いなものなど口にしたくありません。でも、周りの人間は「体に悪い。食べろ、食べろ」と言います。
    善意で言ってくれているのはよく解りますが、食べたくないものは食べたくない。
    痩せ細ってしまったっていい、嫌いなんだから…と言う感じでしょうか。面と向かって人に言っているというよりは、自分自身に言い聞かせているような印象です。
     
    「嫌いなものは嫌い」という考え方は、食べ物ばかりではなく、物事や人間関係にも通じます。たとえ身を削ってでも、はっきり好き嫌いを言いたい、鷹女の強い自我が表れている俳句です。
     
    A三橋鷹女と自我。
     
    個性的で気が強かった伝わる鷹女ですが、共感出来る好きな俳句が沢山あります。
    「この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉」(『魚の鰭』より)
    「墜ちてゆく 炎ゆる夕日を股挟み」(『羊歯地獄』より)
    「千の蟲鳴く一匹の狂ひ鳴き」(『女流俳句集成』より)等々。
    作品に強烈な自我があると言われていますが、どこか自分を客観的に見ているような感じもします。
    「白露や死んでゆく日も帯締めて」(『白骨』より)。潔くって素敵です。
     
    B「お人形」が欲しい男。
     
    付き合って1年になる、A子さんの彼氏はプレゼント好き。可愛いらしい小物から始まって、最近は服などをちょくちょく買って来てくれるようになりました。
    始めは嬉しかったA子さんでしたが、最近はちょっと引き気味。何しろ買ってくるものが「ピンクのフリフリ」ばかりだからです。
    「A子は色白で小柄だから、こういうのが似合うと思って」。彼氏が満面の笑みで言うので、A子さんは「あまり好みではない」とも言えず、「ありがとう」と取りあえず貰い、彼氏とのデートで着たりしていました。
     
    プレゼントは段々エスカレートして行き、A子さんの部屋の中は「ピンクのフリフリ」で溢れ返って来ました。
    「私、もう少し落ち着いた感じが好きかな」。A子さんは控えめに意見してみましたが、彼氏は驚いた顔をして「なんで〜、絶対、ピンクが似合うし可愛いよ!」と、全く聞く耳を持ってくれません。
    (この人って、私の外見ばかりが好きなのかな…)。A子さんの心に疑問が芽生えていました。
     
    そして、夏、A子さんの誕生日。
    彼氏はショッキングピンクの大きなハート型の箱を持って来ました。
    「これこれ〜、A子に絶対似合うから!」。
    開けてみるとそこには、これでもかと言う位にピンクのフリルの付いた下着セットが。リボンどっさりのガーターベルトまで付いていて。A子さんはさーっと気持ちが醒めて行きました。
     
    「私ね、ピンクもフリルも嫌いなの。ごめんね。もう別れよう」。
    彼氏はきょとんとしていました。
     
    数日後、A子さんはピンク一色のごみ袋を何袋も捨てました。
    (彼は私の事が好きだったんじゃない。ピンクとフリルの似合う、着せ替え人形が欲しかっただけ…)。
    久しぶりにTシャツとジーンズを履いて、A子さんは自分を取り戻していました。
     
    C言わないと伝わらない。
     
    良かれと思って言ったり、したりした事が、実は相手の心の負担になっている…というのはよくある事です。
    大抵は片方の我慢で成り立っています。「no!」と言うのは勇気がいるし、その後の人間関係を思うと、なかなか反論めいた事を言うのは難しいです。
    でも、それって、両方にとって不幸。
    相手への気遣いでがんじがらめになる前に、嫌な事は嫌と上手に言ってみましょう。最初はやんわりと。伝わらなければ段々ストレートに。
     
    D呪文にしてみよう。
     
    ストレスの多い世の中、口に出して「嫌いなものは嫌いなり」と言えたら、どんなにスッキリする事でしょう。ぐっと我慢して、言えない場合の方が断然多いですよね。
    理不尽な状況に陥った時、心の中でこの言葉を唱えると、不思議と軽くなりますよ。
     
    「カーネーション 嫌いな人とランチする」