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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その27★夢で逢えたら…小野小町@

  • 2014年06月05日  菱月 美琴  



    大好きな人に、たとえ夢の中であっても逢いたい…という思いは、恋する人達にとって、時代を超えて共通です。老若男女、誰もが一度は願った事があるのではないでしょうか。
    つい最近も女性誌の特集で、「夢で彼に逢うには」なんてページを見つけたり。
    「夢」にまつわる作品を数多く世に遺した、平安前期の女流歌人、小野小町の歌をみてみましょう。
     
     
    「うたたねに恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき」
    (引用:『古今集・553番』より)
     
     
    @この短歌、こう読みます。
     
    読み方は「うたたねに こいしきひとを みてしより ゆめちょうものは たのみそめてき」です。
    意味としては「うたたねした折、夢の中に恋する人を見ました。その時から、(淡くはかなげなものである)夢を、(心の拠り所として)頼りにしてしまうようになりました」。という感じでしょうか。
    また、相手から想われていると、その相手が夢に現れるという説もあります。
     
    「てふ」は「…という」です。
    「夢の中でも逢いたい」気持ちは、歌われていたり書かれていたり、誰にでも経験が有りそうですね。
     
    A小野小町の風貌。
     
    小野小町の画像をネットで探すと、よく、十二単に長い黒髪の後ろ姿が出てきます。あと、うつむき加減の横顔も。絶世の美女とか、世界三大美女とか伝わっていますが、肖像画が残っているわけでもなく、実際の風貌については謎です。
    平安前期、宮仕えの女性は「天平スタイル」と言う、天女のような恰好をしていたという説もあり、きらびやかというよりは、柔らかで軽快なイメージが強そうです。
     
    B謎の恋敵。
     
    営業のAさんは、同僚のB子さんに片想いをしていました。
    社員旅行や職場の飲み会など、彼女に少しでも近づきたいと、密かにあれこれ作戦を練っていました。
    そんなAさんにビッグチャンス到来。次の社員旅行の幹事をB子さんとペアでする事になったのです。
    打ち合わせと称しては休日B子さんと約束して、旅行会社を回ったり、本屋に立ち寄り、ガイドブックを一緒に見たりと、疑似デートを楽しんでいました。
     
    何度か二人で会ううちに、微妙にB子さんがうわのそらな事に気づきました。妙にそわそわしていたり、うっとり携帯を眺めていたり。
     
    「なになに、携帯に好きなヤツの写真でも貼り付けているの?」。そう聞いてみると、
    B子さんはあっさり、「うん」と頷きました。
    「中々思うように逢えなくて、辛いんだ〜…。でも、逢えた時は本当に嬉しいから、しょうがないのかなって思っているよ」。
    そう言って、また携帯を見つめ、ふーっとため息をつき、胸に抱きしめました。
     
    (中々逢えないって、不倫? それとも遠距離? ちょー気になる…。告白して勝負になりそうなのか、まるっきり脈無しなのか、見極める為にも携帯の写真、見たいな…)。イケナイ思いが頭の中で膨らんでいきました。
     
    ある日、社員旅行の打ち合わせで彼女が席を外した時、資料の隙間から彼女の携帯が表向きに出してあるのが解りました。
    資料を片付けるフリをしながら彼女の携帯をチラ見…。
    そこには恋愛シュミレーションゲームの登場人物の壁紙がありました。
     
    「あー、私の彼、見たね」。と、背後からB子さんの声。
    Aさんは思わず「え」っと、聞き返しました。
    「私の彼氏、陸君。携帯の中と、私の夢の中に住んでいるの。最近仕事が忙しくって、中々逢えないんだけど」。
    …Aさんは絶句。
    「私、2次元の男しか愛せないの。生身の男って、キモチワルイのよね」。
    B子さんはチラッとAさんを見て、サッと顔を曇らせました。
    Aさんの恋は打ち明ける事無く、木端微塵になったのでした。
     
    C夢で逢えるおまじない。
     
    大好きな彼に夢で逢うためにはどうしたらよいのでしょう。枕の下に彼の写真を置く(又は名前を書いた紙を置く)…とか、寝る直前まで彼の事を考える…等はよく聞きますね。
    また、好きな相手の夢の中に、自分が現れるおまじないっていうのもあって、これは、手のひらに相手の名前を書いて飲み込む…というもの。
    よく考えると、恋しい人と同じ夢を見る事は無いに等しい訳で、現実はちょっと悲しいですね。
     
    D現実の辛さを夢でカバー。
     
    小野小町は仁明(にんみょう)天皇の妻だったという説があります。一括りに「妻」と言っても、皇后・中宮・妃・女御・更衣という位の序列がついていて、小野小町は身分の低い「更衣」だったのではと言われています。部屋もろくに与えられていない環境で、ひたすら天皇を待ち続けていたのではと考えると、何だか夢にすがる気持ちが身につまされますね。
     
    「初蛍 夢で逢えたら星になる」