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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その39★雷様と恋人達…よみ人知らず

  • 2014年07月17日  菱月 美琴  



    恋をした事のある人なら、誰でも経験するであろう「絶頂期」。寝ても覚めても想うのは彼氏(彼女)の事ばかり。誰も間を裂く事なんて出来ません。はるか千年以上前にも、そんな至高の恋の真っ只中の二人がいました。「よみ人知らず」のこの歌は、勢いに乗り激しい恋情を詠みとっています。始まったばかりの夏、そんな激しい恋に、身を置いてみませんか?
     
     
    「天の原ふみとどろかしなる神も思ふなかをばさくるものかは」
    (引用:『古今集・701番』より)
     
    @この短歌、こう読みます。
     
    読み方は、「あまのはら ふみとどろかし なるかみも おもうなかをば さくるものかは」です。
    「天上界(大空)を踏みしめて大音響をとどろかしている雷神でも、相思相愛の私達の仲を引き裂くことは出来ないだろう」。
     
    まさに恋の絶頂期にいる二人の様子が浮かびます。ここまでドラマチックに詠んでいる所をみると、もしかしたら、作者は道ならぬ恋をしているのかもしれません。「さくる」は「仲を裂く」と共に、雷が落ちて「木々を裂く」イメージと重なります。
    固く結ばれ、激しく燃え上がった二人を、雷様でも引き裂く事は出来ないという、最上級の恋の歌です。
     
    A「(読)(詠)よみ人知らず」って?
     
    昔の和歌集などを見ていると、「よみ人知らず」って、よく出て来ますよね。これは、本当に作者不明の場合の他に、身分を理由とする匿名希望、作者比率の調節の為の名前伏せ…等々から、「よみ人知らず」とされたようです。
     
    B障害が多い程燃え上がる。
     
    都心の花屋に勤めるA子さん(27歳)は秘密を抱えていました。
    6畳一間のアパートに、7つ年下の彼氏と暮らしていたのです。彼は役者志望、春にA子さんの花屋にふらりと立ち寄り、時々現れる様になりました。
    何度か顔を見せた後、白いガーベラの花束を注文しました。A子さんは可愛く花束にして渡すと、「あなたに贈り物です」と言って帰って行きました。
    A子さんはあっけにとられて、しばらくぼう然としていましたが、
    そんなキザな振る舞いも、年下のキレイな顔立ちの彼からなら、まんざらでもありませんでした。
    まんざらでもない…から、すとんと恋に落ちるまで、そう時間はかかりませんでした。
    やがて二人は付き合い始め、あっという間に彼は、A子さんのアパートに転がり込みました。
     
    彼は小さな劇団の舞台俳優をしていました。公演を観に行くと彼のファンとみられる女の子達がちらほら。
    公演後、彼と女の子達が楽しそうに話している所を見たりすると、ざわざわと気持ちが騒ぎました。「私の彼よ!」と世界中に叫びたくなりましたが、ぐっと我慢しました。
     
    友人や家族には彼の事は秘密でした。世間一般的に適齢期に来ていたA子さんを心配して、地方の両親はお見合い写真を送って来たりしていました。
    高学歴、高身長、ルックスもまずまず、固い仕事に就いていて、よい年収、年も少し上…と条件は申し分ありませんでしたが、A子さんは少しも心を動かされませんでした。
    (絶対、いつか、彼と結婚したい)。そう願っていました。
     
    彼の方も、年上で優しく可憐なA子さんに夢中でした。いつか成功して、結婚する事を目標に、日々バイトや劇団での役者修行を頑張っていました。
     
    相思相愛の絶頂期、二人はまさに燃え上がっていました。
     
    その様子を天上界では雷様が見ていました。
    「十年後、彼等にふたつの未来を用意しよう」。
     
    ひとつは、彼が役者として成功して大金持ちになり、彼女と結婚する未来。
    もうひとつは、彼がまだ売れない役者志望で貧乏、今と変わらず彼女と暮らしている未来。
    今後の二人の生き方次第で変わる未来でした。
     
    「この二人にとっての幸せは、どちらにあるのだろう。行く末を見守ろう」。
     
    夏の夜空に雷がひとすじ光りました。
     
    C絶頂期を楽しもう。
     
    それは、世の中にゴロゴロ転がっている恋のひとつなのかもしれませんが、当の本人達にはたった一つの、かけがえのない恋だったりします。
    恋愛期間に必ずやってくる絶頂期。二人の想いがちょうど沸点に達した時、その一瞬を目一杯楽しみましょう。
     
    D魔法の一瞬を、さらにきらびやかに。
     
    人は恋の魔法にかかっている時、盲目です。普段なら吹き出してしまいそうな、クサいセリフやキザな行動が、さらに気持ちを燃え上がらせるエッセンスになったりします。
    今ココ!という時を逃さず、さっと一振りしてみましょう。その恋はきらびやかな輝きを増し、天高く燃え上がるかもしれません。
     
    「逢いたくて雷 君の街を指す」