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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その41★よみがえりの恋…藤原興風

  • 2014年07月24日  菱月 美琴  



    「死ぬ程、好き」って、あちこちで目にしたり耳にしたりしますが、本当はどの程度の重さなのでしょう。発している本人にとっては最上級の愛情表現ですが、受け側は必ずしも、同じ重さで理解しているとは限りません。
    「死ぬ程」を連発すると、やや滑稽で軽く見られてしまうかも。どうしたら、深い想いを確実に伝えられるのでしょう。愛情表現の仕方について、あれこれ考えてみたいと思います。
     
     
    「死ぬる命生きもやするとこころみに玉の緒ばかりあはむと言はなむ」
    (引用:『古今集・568番』より)
     
     
    @この短歌、こう読みます。
     
    読み方は、「しぬるいのち いきもやすると こころみに たまのおばかり あわんといわなん」です。
     
    「貴女への想いが届かず私は死んだも同然です。もしかしたら生き返るかもしれないので、試しにほんの少しの間でも逢おうとおっしゃって下さい」。
     
    「玉の緒」は短いもののたとえで、この場合は「ほんの少しの間」という意味です。
    今の時代から考えると、ちょっと滑稽な感じのする歌です。
    「ボク、君に相手にされずに死んだも同然。試しに“ちょっと逢おう”って言ってみて。生き返るかもしれないよ〜」というような。この歌を贈られて、相手の女性はどう思ったのでしょう。なりふり構わず感情を表現できる、意外にめげない、タフな男性像が浮かびます。
     
    A藤原興風(ふじわらの おきかぜ)のこと。
     
    平安時代の歌人です。(三十六歌仙)。官僚としての身分は低かったようですが、古今和歌集の時代の代表的な歌人で、数々の歌合せ等で活躍しました。琴を教え、管弦に秀でた風流人だったようです。
     
    B可愛い男。
     
    A子さん(25)はスポーツジムの受付。長い髪をひとつにまとめて、凛とした佇まいが男性会員の人気の的でした。時々個人的に誘われる事もありましたが、仕事とプライベートは別にしたいと、全てやんわりお断りしていました。大概はそれで相手も諦めていました。
    しかし、最近入会した会社員のBさん(22)は一味違っていました。
     
    「A子さん、何時あがりですか? 良かったらお茶しましょうよ」
    「…お気持ちはありがたいのですが、個人的なお話はお断りしているんです」
    「A子さんは僕の運命の人なんです。四六時中A子さんの事考えていて、死んじゃいそうです。人助けだと思ってお茶して下さいよ!」
    Bさんは本気なのか冗談なのか解らない位の勢いで、コソコソっと毎回口説いて来るのでした。A子さんは苦笑しました。
    「…本当、困ります」
    「じゃあ、今日はこれで帰りますが、お茶、考えといて下さいよ!」
    そう言うとBさんは帰って行きました。
     
    Bさんは何となく憎めないキャラで友人も多く、いつも朗らかに笑っていました。スポーツジムにも足繁く通って来ては、毎回A子さんにちょっかいを出すので、いつしかA子さんもうっとおしいを通り越して、見掛けないと寂しいような気分になっていました。
     
    そんなBさんがまるまる一週間、ジムに来ない日がありました。A子さんは何となく心配になってきました。あれ程うるさく付きまとって来た人が全く来ないなんて。
     
    BさんはA子さんの好みのタイプではありませんでした。なのに、なぜこんなに気になるんだろう。A子さんは自分の気持ちが不思議でした。
     
    そして、Bさんを見掛けなくなって10日目の夕方。Bさんの会社の同僚が小さなメッセージカードをA子さんに渡しました。
    「Bからです」
     
    A子さんはカードを読みました。
    「“A子さん絶ち”をしてみましたが、そろそろ限界で死にそうです。花屋の横の喫茶店に居ます。人助けだと思って来て下さい!」
     
    (何それ!)と、A子さんは思いましたが、何だかホッとしていました。悪戯っぽく笑うBさんの顔を思い描き、沸々と笑いが込み上げて来ました。
    (お茶位なら、いいか)。A子さんも久しぶりにBさんに会いたくなっていました。
     
    C作戦を立てよう。
     
    正攻法でうまく行かない時は、ちょっと目先を変えて攻めてみてはいかがでしょう。押してばかりだと拒絶されてしまいがちですが、すっとひいてみたら案外うまく行った…なんて事、多々ありますよね。嫌がる相手の心に、スッと入って行けたらこっちのものです。
     
    Dストーカーは絶対ダメ。
     
    ここで重要なのが、「押しと引きの加減」です。常に一方的に好意を押し付けていると、相手にとっては本当に迷惑で「ストーカー」と認識されてしまうかもしれません。
    いくつか作戦を試みて、脈無しと感じたら、きっぱり諦める事も必要ですよね。
     
    「氷水 死ぬ程好きと言ってみる」