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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その43★恋ひ死なば…清原深養父

  • 2014年07月31日  菱月 美琴  



    平安時代の恋歌を多数見て来ましたが、参考になりそうな恋の先達は居ましたでしょうか。男性歌人は、やや女々しい歌が多い気がします。そんな恋歌に多用される、マイナスイメージの言葉を使う時の注意点や、効果的な恋への活用法など様々に考えてみたいと思います。
     
     
    「恋ひ死なばたが名はたたじ世の中の常なきものと言ひはなすとも」
    (引用:『古今集・603番』より)
     
     
    @この短歌、こう読みます。
     
    読み方は、「こいしなば たがなはたたじ よのなかの つねなきものと いいはなすとも」です。
     
    「この恋が終わり私が死んでしまったなら、失恋の相手として誰の名前が噂に立つでしょう(貴女しか居ません)。世の中は無常で、人の情も命も、儚いものだと言い放ったとしても」。
     
    文法に添い正確に訳すと難解になってしまいますので、言わんとする所を意訳してみました。要は「恋が死んで私も死んだなら、あなたのせいですよ。世の中は無常だなんて言い訳は通用しませんよ」云々、恋する相手に軽く抗議するような感じでしょうか。言葉のやり取りを楽しんだ、平安ならではの恋歌と言えますね。
     
    A清原深養父(きよはらの ふかやぶ)のこと。
     
    平安時代の歌人です。(中古三十六歌仙)。曾孫は清少納言だと言われています。紀貫之らとも親交があり、琴の名手でした。百人一首にもとられている「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月やどるらむ」は素朴な優しい歌です。孫の清少納言は『枕草子』の中で「夏は夜」が素敵だと言っていますが、頭の片隅にでも、おじい様の歌があったのかもしれませんね。
     
    B「死」が口癖。
     
    「あづいぃ〜、死んじゃうぅ〜」。
    今年の春、短大を卒業し、住宅設備メーカー事務員のA子さん(20)。男性ばかりの職場の紅一点です。何かと言うと「死ぬ」「死ぬ」という彼女でしたが、どこから見ても健康的で、「死」からはほど遠い存在でした。
    「何で“死”とか多用するの?」。2年先輩のBさん(24)は聞いてみました。
    「何か、癖で。“超”とかより、その上を行く感じが気に入ってるんですよ〜」
    「ふぅん。そんなものかな」
    「そうですよー。“暑い”も“好き”も“頭に来た”も“悲しい”も、全部、“死ぬ”で足りますしー」。A子さんはあっけらかんと言いました。
    「そうかな〜」。Bさんは苦笑しました。
     
    そんなA子さんはここ数日、本当に死にそうな顔をして、無口になっていました。
    「A子さん、どうしたの?」
    「いえ、別に」
    「何か悩みでもあるの?」
    「…う〜ん、Bさんには相談してみようかな」
    「じゃあ、帰り、喫茶店でも寄るか」
    「すみません、ありがとうございます」
     
    会社から少し離れた場所にある喫茶店で落ち合いました。
    A子さんに話を聞くと、数日前、親友の彼から告白された事。自分もずっと好きだった事を話しました。答えが出ないまま悶々としているとの事でした。
     
    「夜は眠れないし、親友の顔はまともに見れないし、本当、辛くて」
    「そうか〜、…まあ、自分で答えを見つけるしかないね〜」
    「人生で最悪の気分なんですが、これ、言葉に言い表せないです…。本当に“死にそうな時”って、“死”という言葉は、出て来なくなるもんですね」
    A子さんは暗く俯きました。
     
    その後、A子さんは親友とその彼との修羅場を経験し、結局、恋も友も失い、独りぼっちに。拒食症と過食症を繰り返して、季節は変わり冬位にやっと落ち着いて、笑顔も見せるようになりました。
     
    A子さんの口から“死”という言葉が、軽々と出て来る事はなくなりました。
     
    C言霊(ことだま)を意識しよう。
     
    暴力的な言葉やマイナスイメージの言葉を口にすると、一瞬、スカッとしたり、ちょっといい気分になったりしますよね。でも実は危険な事だったりします。
    言葉にはひとつひとつに魂があります。「言霊(ことだま)」って、聞いた事がありますよね。言葉は発する事によって、それは呪文の役割となり、運気を呼び込むとも言われています。であれば、マイナス運気より、良い言葉を沢山使って、プラスの運気を身にまといたいですよね。
     
    D刺激的な言葉も必要。
     
    言霊を意識し過ぎて、慢性的に良い言葉で着飾っていては、やや面白みに欠けた人になってしまいがちです。ユーモアとブラックユーモアを使い分けて、魅力的な大人になりたいですよね。時にはナイフのように尖った言葉も、恋のアクセントになるかもしれません。
     
    「朝の虹 ノートにキライとカナで書く」