TOP > イククルコラム > ★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その49★さびしさの感覚…林あまり

★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その49★さびしさの感覚…林あまり

  • 2014年08月21日  菱月 美琴  



    恋愛中に「さびしい」と感じる事はよく有りますよね。二人の関係が不確かな場合や、行く末が不透明な場合等には尚更です。
    一緒にいるのに「さびしい」のは何故でしょう。林あまりさんの短歌を参考にして、大人の恋と、様々な愛のカタチについて考えてみたいと思います。
     
     
    「知らない街の暗い階段あなたの手が下着に入ればよけいさびしい」
    (引用:林 あまり著『ベッドサイド』より)
     
     
    @この短歌、こう読みます。
     
    読み方は、「しらないまちの くらいかいだん あなたのてが したぎにはいれば よけいさびしい」です。
     
    定型のリズムでは無く、字余りから始まっているスピード感のある短歌です。「知らない街の暗い階段」という背景だけで、何となく沈んだ孤独な感じがしますが、そこへ「あなたの手が下着に入れば」と来て、一気に淫靡な物語の世界へと引き込まれます。
    とても上手いと思うのは、最後の「よけいさびしい」というひらがな表記です。空虚でやるせない気持ちが、ストレートに伝わってきますね。
     
    A林 あまりさんのこと。
     
    昭和38年、東京都出身の女流歌人・作詞家・エッセイストです。本名は真理子。(作家・林真理子さんと同姓同名)。成蹊大学文学部の日本文学科卒業。卒業後は、沖積舎で編集者として勤務します。
    大学在学中に「詩歌」に所属し前田透氏に師事、解散後は歌人集団 『かばん』の創設に参加します。独自の感性でとらえた官能の世界を口語体の短歌で発表、多くのファンがいます。
    作詞家としても坂本冬美さんの「夜桜お七」は有名ですね。
     
    B「トモダチ」って。
     
    北欧雑貨のお店に勤めるA子さん(24歳)。いつか自分のお店を持つ事を目標に、週に二度、スナックでアルバイトをしていました。お客として時々来る商社勤務のBさん(24)は、お互い海外旅行が趣味と言う事で意気投合、何度か言葉を交わすうちに、仕事抜きで二人で逢うようになりました。
    間もなく成り行きから一線を越える事に。その後、Bさんは時々、A子さんのアパートに泊まって行くようになりました。
     
    (これって、付き合っているって事だよね?)
    そう自問自答してみましたが、Bさんからは好きだとか、付き合ってくれだとか言う言葉を、聞く事はありませんでした。
    それでもBさんは優しく、時々、出張帰りにお土産を買って来てくれたり、可愛いプレゼントや花束などの贈り物をくれたりするので、このままの関係が続けば十分だと思っていました。
     
    ある日、約束をしていたBさんから電話が。
    「ごめん、今日、用事が出来て、行けないわ」
    「…わかったよ」
    「又連絡する」
     
    予定がぽっかり空いたA子さんは、気晴らしに街へ買い物に行きました。お気に入りのお店をいくつか覗いて、駅前を歩いていました。すると前方からBさんと見知らぬ女の人が。
    A子さんは驚いて、立ち止まりした。
    気が付いたBさんも驚いたようですが、隣の女の人は不審な顔つきになりました。
    「あ、こんばんは」
    「あ…」
    A子さんは茫然と立ち尽くしましたが、
    すれ違い様、
    「あの人誰?」という女の人の声が聞こえました。
    「あぁ、友達」。
    そのままBさんと彼女は通り過ぎて行きました。
     
    「トモダチ…」。A子さんはその言葉を噛みしめました。
    やはり、「友達」=「セフレ」止まりだったんだと。
     
    (トモダチなんて、要らない)。
    一人になるのが怖くて寂しくて、Bさんに問い正せなかった二人の関係でしたが、
    「セフレ」のまま続けるのはもっと寂しいと思いました。
    A子さんは携帯のアドレスからBさんを消し、まずもう一度、ひとりになる事から始めよう、と思うのでした。
     
    C本当に付き合っている?
     
    「付き合って下さい」→「ハイ」。なんて、分かり易い始まり方って、なかなか無いですよね。世の中の恋人達に聞いてみても、「何となく始まった」という人が多数を占めています。
    ここで悲劇なのが、自分だけ「付き合っている」と思っている事。「好き」や「愛している」など、決定的な言葉が無いまま関係が続く場合、ひょっとして相手は遊びなのかも。
    傷が深くならないうちに、相手にそれとなく二人の関係を確認する事が大切です。
     
    D「さびしさ」が女を磨く。
     
    そうは言っても、辛い経験が人として深みを与えるという事も有ります。恋愛で「遊ばれた」と嘆くよりも、経験値として心に刻み、次の恋へのステップにしましょう。
    酸いも甘いも噛み分けた大人って、魅力的ですよね。
     
    「流星 恋人未満へさようなら」