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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その51★並ぶ二つの心…柳原白蓮

  • 2014年08月28日  菱月 美琴  



    太古の昔から、男と女は出会い、結ばれ、新しい命を育んで…を繰り返し、今の私達が居ます。そして又私達も異性と巡り合い、未来へと命をつなげてゆくのです。
    出会いの不思議について考える時、浮かぶ歌があります。
    連続テレビ小説でもお馴染みとなった、柳原 百蓮(やなぎわら びゃくれん)さんの恋歌について、見て行きたいと思います。
     
     
    「幾億の生命の末に生れたる二つの心そと並びけり」
    (引用:柳原 百蓮著『踏絵』より)
     
     
    @この短歌、こう読みます。
     
    読み方は、「いくおくの いのちのすえにうまれたる ふたつのこころ そとならびけり」です。
     
    「幾億の生命の末に」生まれて来た私達。当たり前の事ですが、再確認する事で自分の存在そのものが奇跡で、出会いは特別だという事が実感出来ますね。
    「二つの心がそっと並んだ」という表現がとても綺麗です。
     
    A柳原 白蓮(やなぎわら びゃくれん)さんのこと。
     
    明治18年東京生まれの女流歌人です。本名はY子(あきこ)。大正天皇の従妹にあたります。父は柳原前光伯爵で、生母はその妾の一人、奥津りょう。大正三美人のひとりという美貌の持ち主。15歳の時、親が決めた最初の結婚をします。間もなく男の子を出産。夫婦仲は冷め切っていて、20歳の時離婚し実家に帰ります。
    東洋英和女学校に23歳で編入学、佐佐木信綱主宰の「竹柏会」に入門、短歌を本格的に学びます。後に翻訳者となる村岡花子と出会い、親交を深めます。
    女学校を卒業し間もなく、九州の炭鉱王・伊藤伝右衛門と見合いし再婚します。25歳と50歳という年齢差の上、身分違いの結婚に「華族の令嬢が売物に出た」と話題になりました。
    伊藤家は、妾が家の切り盛りをする、複雑な人間関係の大家族。居場所はここにもありませんでした。
    大正4年、歌集『踏絵』を自費出版します。
    大正8年、執筆した戯曲が縁となり、『解放』の主筆で、7歳下の社会運動家、宮崎龍介と出会います。やがて二人は恋に落ち、不倫、子を身ごもり出奔、ごたごたの末、白蓮36歳、龍介29歳の時、再々婚します。(白蓮事件)。
    男女二人の子宝に恵まれ、夫龍介が肺結核を患った時は、執筆や講演等で家計を支えました。
    昭和36年、両眼の視力を失いますが、夫の献身的な介護を受けます。
    歌を詠みつつ、静かで安定した晩年を過ごしたそうです。
     
    B今しかない。
     
    休暇を取り、オーストラリアへ一人旅に来ている、商社勤務のA子さん(28歳)。
    海辺の街に1週間の滞在。シーフードレストランで素敵な彼と出会いました。金髪に青い瞳、バーテンダーのオーストラリア人(22歳)。アルバイトで現地の大学生でした。
    レストランへ毎晩通う内、すぐに打ち解け色々と話すようになりました。カタコトの日本語と英語での会話は、思いの外盛り上がり、時には閉店まで話し込む事も。
     
    「あのビーチ、時々、野生のフラミンゴに会えるよ」
    「そうなの、見たいな」
    「明日、休みだから、案内しようか」
    「本当? 嬉しい!」
     
    A子さんは紅潮した頬のまま、ホテルの部屋へ帰りました。彼に恋してしまっているかもしれない、と、思いました。
    帰国は明後日。このまま日本へ帰ったら、絶対、後悔すると思いました。
     
    28歳、周囲には「そろそろ結婚したら」とうるさく言われていました。職場にも独身男性は沢山居て、食事に誘われたりもしましたが、心ときめく事は有りませんでした。
     
    (一人旅に来ているから、人恋しくて、恋した気分になっているだけかも?)
    (彼は22歳、これからすぐに結婚と言う訳にも行かないだろうし、そもそも年上の自分を恋愛対象に見てくれるだろうか?)
    などと悩みましたが、
    「一期一会」の言葉が頭をよぎり、理性より恋しさの方が勝っていました。
     
    眠れないまま朝が来て、彼と待ち合わせのビーチへ。
    ほんのりとピンク色のフラミンゴが3羽、遠くの方に見えました。そして、彼がやって来ました。
    「ほらね、居たでしょ。きれいでしょう」
    「うん、とてもきれい」
    「…あのね、話があるんだけど、私、あなたの事、好きになったみたい」
    「本当?」
    「…実は、僕も」。
     
    彼は恥ずかしそうに微笑みながら、A子さんの方を見ていました。
    何年かぶりに、異性にドキドキする自分が居ました。
    その日はまる一日、恋人同士として過ごし、帰り際、連絡先の交換をしました。
     
    その後、A子さんとBさんは何年か遠距離恋愛をし、A子さん34歳、Bさん28歳の時、フラミンゴの居たビーチ近くの教会で式を挙げました。
     
    「出会いの一つ一つが奇跡。あの時、気持ちを伝えて良かった」
    A子さんはとても幸せでした。
     
    C直感を信じよう。
     
    白蓮さんの2度の結婚は身内に決められ、彼女にとっては辛いものでした。
    その辛い最中に提出歌を詠んでいます。それは、最後の夫となる運命の人、龍介との恋を予言するような歌でした。出会いの不思議と運命、「二つの心がそっと並ぶ」という感性が、最高の恋を呼び寄せたとも言えるでしょう。
     
    D様々な出会いを大切にしよう。
     
    世の中は出会いであふれています。固定概念に縛られず、自分の気持ちに正直になって、運命の恋を探し当てたいですよね。
     
    「星月夜 恋一つだけ胸に抱く」