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★電脳歌人ミコトの恋の覚書 その52★身近な異性…鎌倉佐弓

  • 2014年09月01日  菱月 美琴  



    父親や母親を大切にする人って、素敵ですよね。最近では親離れするような年齢になっても、一緒にショッピングに行ったり、食事をしたりと、親と“友人または恋人同士”のような関係も珍しく無いそうです。テレビでも特集が組まれるほど。
    そんな“ママっ子”“パパっ子”の彼・彼女と、恋人同士になった場合、どんな風なのでしょうか。角度を変えて考えてみたいと思います。
     
     
    「黒葡萄父をまぶしく見し日あり」
    (引用:鎌倉 佐弓著『潤』より)
     
     
    @この俳句、こう読みます
     
    読み方は「くろぶどう ちちをまぶしく みし ひあり」です。
     
    「黒葡萄」という括りでは、巨峰やピオーネといった、大粒で高級感のある葡萄が有名ですよね。「葡萄の王様」と「一家の大黒柱」、何となくイメージが重なります。
    幼い頃、父親は娘のヒーローで、「大きくなったらパパのお嫁さんになる!」なんて、可愛らしい宣言をした人も多いのでは。
    ある程度大人になっても「父みたいな人が理想の男性です」と、言い切る女性もちらほら。
    提出句は、素敵だった、記憶の中の父親を懐かしむ、大人になった娘の視線が、とても優しいですね。
     
    A鎌倉 佐弓(かまくら さゆみ)さんの事
     
    昭和28年、高知県出身の女流俳人です。埼玉大学の教育学部を卒業。元小学校の教諭です。俳句雑誌『沖』で、能村登四郎氏に師事します。夫は俳人の夏石番矢氏。
    現在は月例の句会「潤の会」を主宰し、新聞等での俳句選者や、世界俳句協会の会計をつとめていらっしゃいます。国際的な詩歌祭への参加も多数あります。抒情的でやわらかな感性の俳句が素敵です。
     
    B恋人は「おとーさん・おかーさん」じゃない
     
    保育士のA子さん(27)は、IT企業の営業マンBさん(25)という恋人が居ます。友人の紹介で付き合いはじめ、同棲をして3年になります。
     
    A子さんは、最近、(何かが違う)と思い始めていました。
    彼は仕事で深夜帰宅する事も多く、夜顔を合わせず朝が来る事もしばしば。
    毎朝、ダイニングテーブルを見ると、ビールの空き缶が散乱し、食べた物がぐしゃぐしゃになっていました。
    A子さんは、まずそれらを片付け、朝食を二人分作り、眠っている彼を起こして、彼のワイシャツとスーツにアイロンをかけて、幼稚園へ出勤。
    そんな日々が慢性化していて、仕事を始める前にはぐったりしていました。
    (私、まだ、妻ってわけじゃないのに…。同棲を始めた頃は、もっと私に気を遣ってくれたのにな…)
    A子さんはそろそろ我慢の限界が来ていました。
     
    ある日曜日、A子さんはBさんを朝起こしました。
    「ねえ、話があるんだけど」
    「何だよ。まだ眠いよ…。折角の休み、ゆっくりさせてくれよ」
    Bさんは掛布団で頭を隠してしまいました。
    「…もういいよ。私、今日、出掛けるね」
    「…」。
    A子さんは彼の分の朝食と昼食を作り、冷蔵庫に入れてからアパートを後にしました。
    友人のC子と連絡を取り、ファミレスで会う事に。
     
    「A子は世話を焼き過ぎたんだよ。B君はすっかり甘えちゃってるんだよ」
    「そうだね…。でも、同棲を始めた頃は優しかったし、家事の分担も進んでやってくれていたのに…」
    「“疲れてる”って言われて、何から何まで世話しちゃったんじゃない?」
    「うん、そうかも…」
    「今のA子は、“妻”と言うより、“お母さん”になっているよ。どこかで一線引かないと、これからもずっとそんな関係だよ」
    「…そうだね。ちゃんと話してみる。…ありがとう」。
     
    夕方、家に帰ると薄暗い部屋の中、ボサボサの髪でテレビゲームをしている彼がいました。やはりダイニングテーブルはぐしゃぐしゃで、汚れたお皿は2食分出しっぱなし。
    「お帰り」
    そう言うと、彼はA子さんを見る事もなく、テレビ画面に向かったままでした。
    汚れたお皿をシンクに入れ、彼の脱ぎ散らかした物を片付けているうち、何だかすーっと気持ちがさめていくのが解りました。
     
    「私、ここを出て行くね」
    ふいにその言葉が出ました。
    「…えっ、何」
    驚いて、彼がやっと振り返りました。
    「私、あなたの“お母さん”やるの嫌だから」。
     
    A子さんはアパートを飛び出しました。彼への愛情はとっくに消えて居たんだ…と思いました。変な義務感に、がんじがらめになっていただけでした。
     
    C“してあげ過ぎ”は、相手をダメにするだけ
     
    彼に手料理を作ったり、身の回りの世話をするのは楽しいですよね。喜んでもらえたり褒められたりして嬉しいものですよね。
    でも、やり過ぎるとそれが当たり前になり、いつしか「お母さん」になってしまう事も。
    “してあげる”のも“してもらう”のも、匙加減が重要です。
     
    D依存せず、対等な関係で
     
    恋人に、依存し過ぎていませんか? 対等な関係が崩れると、いきなり別れが来てしまう事も。お互い思いやりの心を持って、二人の関係を大切に育てて行きたいですよね。
     
    「黒葡萄ひと房恋を終わらせる」