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《おばあちゃんの恋袋 第十二話》恋は花いちもんめ 〜○○君が欲しい〜

  • 2014年01月20日  吉井 綾乃  



    俗に言う大人の恋と幼い恋、二つの恋の違いはどこにあるのだろうか?

    大人の愛がそっと人知れず咲く花だとすれば 幼い恋はさしずめ・・・。

    『○○ちゃんが欲しい。 負けて悔しい花いちもんめ。』

    幼い恋は花いちもんめなのだ、と思う。

     

    新年を迎えてから毎日最高気温が10度に満たない日が続いているけれど、若い皆はどんな防寒対策しているのかしら。

    おばあちゃんも今年は雪だるまの様にタップリ着込んでいるせいか肩が凝っているみたいよ。

    そんなおばあちゃんだって若い頃は、お洒落が大好きだったから少々の寒さなんかものともせずに薄着で頑張ったものだわよ。 さて今どきの若者の皆はどうなのかしらね?

    おばあちゃんの周りを見る限り、近頃の若い方々には冷え性の人がとっても多い気がするのだけれど、おばあちゃんの気のせいかしら。 それも末端冷え性の人が多いみたいね。 男女共にね。

    今どきのおの子も女子も昔の若者たちに比べると線が細く洗練されて一様に綺麗になって 羨ましい限りだけれど身体はおばあちゃん達の方が見かけは劣るけれどが頑丈に出来ているのかもしれないわ。 これもひとえに今は亡き母親が丈夫に産んで丈夫に育ててくれたおかげだわね。 母親に感謝しなくてはいけないわねぇ。

     

    久しぶりに懐かしく母親のことが思い出されて少しセンチな気分になってしまったみたい。 でも幼い頃にかえってよく遊んだ遊び 花いちもんめを思い出したら、一緒に恋話も一つ思い出したわ。

    童謡・花いちもんめは「勝って嬉しい 花いちもんめ 負けて悔しい 花いちもんめ あの子が欲しい・・・。」あの子のところに手に入れたい子の名前を入れて歌い ジャンケンで勝ったチームが欲し子を手に入れる遊びよ。(若い皆は知らないかもねぇ)

     

    其の恋話はね、おばあちゃんは大学時代のほんの短い間バンド活動のお手伝いをしていたことがあってその時のお話よ。 バンドの構成はギターとベースとドラム、そして女性ボーカルの四人+マネージャー。おばあちゃんはそのマネージャー兼雑用係り。

    通っている場所は大学や専門学校と皆それぞれ違っていたけれど、彼女と男の子たちは群馬の同じ高校を卒業した仲良し五人組。数が合っていないと思ったでしょう。 そう、数の合わない一人 コウヘイは応援団長。おばあちゃんと同じ立場かな。

    とにかくバンド結成の経緯(いきさつ)は長くなるから割愛するとして、ボーカルとおばあちゃんの二人が女性。そして四人のおの子という構成よ。

    彼女はジャニス・ジョプリンのカバー曲を持ち歌にしていて、おばあちゃんはジャニスの大ファンだったから彼らとの交流はとっても楽しいひと時だったわ。 今思い返してみれば、人生初のモテキの到来もその時だったみたいだし、楽しくない訳がないわね。

    夏の合宿と銘打ってメンバーの実家に泊まり込んだり、今でこそテレビで紹介されたりするけれど おばあちゃんの学生時代にはほんとに何もなかった三軒茶屋のコウヘイの部屋での麻雀三昧の日々や雑魚寝。 思い出は語りつくせないほど沢山あるわ。

     

    其の仲間たちといつも いつも行動を共にしていて、そうこうしているうちになぜか仲間内に恋心が育って、皆 口にこそ出さないけれどメンバーの気持ちが恋心で一杯と言う展開になってしまったのよ。 其の光景が何とも幼い頃の花いちもんめの遊びを彷彿させるものなの。 恋のトライアングル状態と名付けようかしら。

     

    ボーカルのミッちゃんとドラムのムラちゃんはおばあちゃんが皆と出会った当初から恋人同士。 必然的に残ったメンバーの恋心はおばあちゃんが一手に引き受けることとなって、これぞモテキの到来よ。 今で云うイケメンのベースとリードギターのシンちゃんケン。それに応援団長のコウヘイ。3人ともおばあちゃんに好意を寄せてくれているのが手に取るように解ったわ。 でも嬉しいと思う気持より切なく思う方が強かったの。

    なぜって、こともあろうに其の時おばあちゃんはドラムのムラちゃんに恋心を抱いてしまっていたのですもの。 これはボーカルのミッちゃんに対する背信行為ですもの おばあちゃんとしては皆に気持ちを悟られないようにと、必死だったわ。

     

    イケメンで優しいベースのシンちゃんが優しく大事な物を守るようにおばあちゃんに接する時、イケメンだけど物静かで滅茶苦茶ギターが上手だったケンが、そっと眩しそうにおばあちゃんを見つめる時そしてひょうきん者のコウヘイが幼稚園児の様におばあちゃんに意地悪する時。 気づかないふりの陰でとっても心が痛んだわ。 3人とも大好きだったけど、恋する人はムラちゃんだけ。 ほんとに恋心はやっかいね。

     

    今、あの時に皆で花いちもんめを歌っていたら 声に出してムラちゃんが欲しい おばあちゃんが欲しいと言い合っていたらと考えたら可笑しくなって一人で笑ってしまったわ。 やっぱり花いちもんめは幼い恋に似合っているわ。 大きな声で欲しい人の名前を呼ぶのも負けて悔しがり 勝って嬉しがるのも幼い証拠。 でも生き生きとして魅力的だわ。 手に入れたい彼や彼女の名前を大きな声で呼べたらいいわね。

    若い皆なら幼い恋も素敵な恋物語になるはずよ。 だから皆さん頑張って頂戴な。