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《おばちゃんの恋愛説教部屋》恋せよ乙女〜男心はケセラセラ〜

  • 2016年01月19日  吉井 綾乃  



    1月も半ばを過ぎたのに凍てつくような寒さとは無縁で、老体に優しい日が続き、有り難いことである。だが、雪や氷が売りの冬場の観光地にとってみればこの暖かさは、優しい日々などではなく、酷な日々であろう。
    事ほど左様に、ものごとは表裏一体。何事も側面だけでは本質はみえてこないものだ。
    いわんや、人の心をや。
     
     
    さてさて、ごきげんよう。皆様、風邪など召していませんかしら。
    おばあちゃんの友人は毎年、ワカサギ釣りを楽しみにしているのだけれど、今年は氷が張っていなくて釣りが出来ないと嘆いていたわ。本当に暖冬なのねぇ。
    いくら暖冬でも北海道なら雪が降っているはず、というわけで今日、おばあちゃんのお節介の餌食に選ばれたのは北海道にお住いのヒミツさんよ。
     
    18歳の時に別れて以来彼氏が居ません。
    というか、私に合った素敵な人が現れないって言うのが本音ですが。
    そのせいなのか、ずっとずっと欲求不満で…。
    けど抱いてくれるなら誰でもいいという訳ではないので、彼氏が出来るまでは我慢してます。
    けど私の体にはコンプレックスがあって引かれないか心配です。
    何がコンプレックスかと言いますと、お尻にニキビが出来て…それがどうしても気になって潰してしまうからそれが後に瘡蓋になったり黒ずんだ跡が残っているとこが数カ所ある事です。
    他にも高校卒業してから全く運動をしなくなってしまい体重が増えてしまい…お腹に赤い線が数カ所あったりもします。そんな私の体を見たらきっと男性の方は引いてしまうでしょうね。
    ♀ヒミツ 20代前半 北海道
    フムフム。文体から察するに、ヒミツさんは少しぽっちゃりとした色白で可愛らしいく、ちょっと控えめな女性と、お見受けするわ。友達同士でも、リーダーになるタイプではなくニコニコと補佐に回るタイプかしらん?
    当たるも八卦当たらぬも八卦、おばあちゃんの独断と偏見によればヒミツさんは臆病で引っ込み思案な女性とみたわ。
    なにせ、18歳から今日まで(4・5年かしら)ただただ、待って、我慢し続けているわけですものね。それに、
    私に合った素敵な人が現れない
    ですって!何をおっしゃるうさぎ(ヒミツ)さん、だわ。
    待っていれば、素敵な王子様が迎えに来てくれるなら世の中の女性は誰も苦労はしないわよね。女性全員、一人残らず素敵な彼が現れるのを待つわよ。そう思わないこと?
    でも、ヒミツさんが夢見る夢子さんだ、というわけでもなさそうよね。
    ヒミツさんは、お伽噺ならアリの『昨日も今日も会えなかった。けれど、明日にはきっと、会える…』と、思っているタイプではなく、現実に自分が欲求不満だという自覚もあり
    抱いてくれるなら誰でもいいという訳ではない
    と、一応分別もあるのですものね。それに、言葉遣いから見てもおバカさんじゃないのは良く分かったわ。
     
    コンプレックスだっておバカさんには芽生えない感情だしね。だからって、褒めるわけじゃないのだけれど、それだけに残念よ。
    ヒミツさん、あなたは何時も控えめで、感情や思っていることを口に出すことが苦手なのじゃないのかしらん?良く言えば思慮深い、悪く言えば臆病者ね。
    昔々、おばあちゃんのお友達にもヒミツさんの様にコンプレックスのかたまりのような人がいたのよ。だから、ヒミツさんが、どうしてもその彼女と重なってしまうのだけれども、ね。
    彼女はおばあちゃんや傍から見れば、少しポッチャリとしてはいるけれどけして、太っているわけではないし、いつもニコニコしている可愛らしい人だったわ。でも、彼女は自分が太っていて醜いというコンプレックスを持ち続けていたの。
    笑うと無くなってしまう切れ長な目も、体のいたるところにある幼い頃のアトピー痕も彼女を悩ますコンプレックスとなっていたみたい。
    周りは、そんなこと気にもしていないし、笑うと無くなってしまう目だって、ボッチャリ体型だってむしろ愛らしく可愛いと伝えても、同性の意見ではあまり彼女のコンプレックスを消す効果はなかったのは事実ね。長いこと、おばあちゃんや女性陣の意見で彼女のコンプレックスが解消されることはなかったわ。一緒に旅行した時もお風呂で自分の体を見られるのがとても苦しそうで痛々しかったものねぇ…。おばあちゃんも若いころには恥じらいもあったから友達でも裸を見られるのは抵抗があったけれど、彼女のそれはまた別だったわね。
     
    そんな彼女が一人の男性と出会い恋をしたのは、今のヒミツさんと同じ年頃の頃よ。
    彼女は、前から暗い感じの女性ではなかったのだけど、日増しに明るく綺麗になっていったのよ。輝き出した彼女はまるで別人格の女性が乗り移ったかのようだったわ。それは、たぶん恋の魔法のなせる業ね。コンプレックスなどどこかに消し去ってしまったようだったわ。
    ところで、ヒミツさん、
    私の体を見たらきっと男性の方は引いてしまうでしょうね。
    って。
    いいえ、いいえ、そんな心配はご無用、そんなことは絶対ないわよ。女性の体を見て引いてしまう殿方など、この世に存在しやしませんもの。男性が好きな殿方でもない限りね。
    たかが、お尻ニキビの一つや二つ。いいえ、三つ四つ、いくらあろうとも屁でもないわよ。それに、有名な裸婦の絵を思い出してごらんなさいな。お腹の皺は勿論のこと皆ふくよかでポッチャリでしょう。これらを描いたのはほぼ、皆男性です。事ほど左様に男性は女性の裸が好きなのよ。男心なんてケセラセラだわ。
     
    羞恥心は若さの特権だけれど、太っていることやお尻ニキビでコンプレックスを持つ必要など、全然ないのよ。
    女性であることに自信を持って大いに恋をしてちょうだいな。何度、恋してもいいじゃないの。臆病者に春は来ないわよ。
     
    「来る春に コンプレックス 水を差す」