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《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》「夫だけ」は損!?『不機嫌な果実』

  • 2016年05月06日  猫元 わかば  



    ドラマや小説でテーマになる「浮気」。寂しかったとか、遊びのつもりが本気になって…とかそこに至る理由や過程は様々。いつバレるか目が離せないドキドキの展開は物語のスパイスになります。あくまで読み物上は、ですが…。
     
     
    4月から新しいTV番組が続々とスタートしました。
    みなさんはチェックしているものはありますか?
    私はいくつか続きを楽しみにしているドラマがあり、原作と一緒にチェック済み。
    ドラマと原作の違いを見つけるのも楽しみの1つです。
     
    今回ご紹介する小説も4月からドラマがスタートしたばかり。
    林真理子さんの小説『不機嫌な果実』。ドラマをご覧になった方もいるのでは?
    すでにドラマ化されていた本作ですが、約20年の時を経てキャストも新たに再ドラマ化。
    主人公を栗山千明さん、その夫をSMAPの稲垣吾郎さんが演じます。
    物語の主人公(ヒロイン)は32歳のアラサー女性。
    夫への不満から、複数の男性と不倫をしてしまう…という大人な恋愛小説です。
     
     
    ■『不機嫌な果実』あらすじ
     
    夫・航一から“女”として見られなくなり、夫婦生活を拒まれるようになった麻也子。
    彼女はその不満をかつて自分にプロポーズしてきた男性・南田と浮気をすることで晴らしていました。
    浮気とはいっても肉体関係はなし。
    ひと月かふた月に1度会って食事をするという奇妙な関係を5年以上つづけています。
    ところがある日、いつもと同じように食事をしていると衝撃のセリフを南田から聞かされます。
    「いよいよ結婚する」「ニューヨークに住もうかと思っている」。
    そんな話を聞かされて以来、何をしても面白くない麻也子。
    不倫の話を友人に愚痴るわけにもいかず、イライラがつのる中で思い出したのは、かつての恋人・野田の存在。
    麻也子は一縷の望みを抱き、思い切って電話をかけることを決意します。
     
     
    ■女子ってやっぱりコワイ!?
     
    主人公の麻也子は32歳。夫とは結婚6年目。子どもを作る予定もなく、姑さんから「はやく子供を作りなさい」とちくちく言われ始めた兼業主婦です。
    自分への手入れを怠らず、スタイルが良くとても美しい女性。
     
    麻也子は常に不満を抱いています。結婚相手や付き合った男性、仕事などなど。
    後からちょっとでも自分の持っているものより良いものを見かけると「私は損している」とブーたれてしまう。
    そうかと思えば優位な点を見つけて悦に浸る。男性からチヤホヤされるのが大好き。
    気分屋で計算高くてプライドも高くて、女のイヤ〜な部分を押し固めたような女性です。
    もちろんそんな部分はすべて胸の内に隠して、外面にはおくびにも出しません。
    見方を変えれば自分の価値を客観的に把握しているとも言えなくはないですが…。
    ヒロインとしてはなかなかアクの強いキャラクターです。
     
     
    ■『イケメンだから』という理由で結婚したけど…!?
     
    麻也子は旦那・航一に不満を抱いていますが、同時にハイスペックな男性であることは認めています。
    まず顔がいい。そして優しくて思いやりもあって、妻である麻也子に対して手を上げたり声を荒げたりもしない。
    作中で麻也子の好みの男性は「品がよくて、イケメンで、教養があって、ユーモアもあって、スポーツマンで…」(まだ続くのかい!)と書かれていますが、麻也子から見ても航一はそのほとんどを満たしている。まさに好みのタイプぴったりの男性。
     
    一方で食事だけの浮気相手・南田はブサメン。
    出会いは航一と結婚する前。「絵に描いたようなエリートがいる」と紹介された男性で、国際的に活動している弁護士です。
    そのため身に着けているものや連れて行ってくれるレストランはとっても豪華。
    でもやっぱり顔が好みじゃないので、若い麻也子は彼のプロポーズを断ってしまいました。
    どんなに金持ちでも「こんなブサイクと一緒に暮らすなんて耐えられない!」と思ったわけです。
     
    ところが、30歳を過ぎて「惜しいことをした」と思い始めます。
    年齢と共に南田の外見の欠点がそこまで気にならなくなってきた。
    なぜならどんなにイケメンな旦那だって年を重ねれば太るし、ハゲてくる。
    「だったら社会的地位が高く、金回りのいい南田を選べばよかった!」と損をした気分になってしまった。
     
    一緒に食事をするたびに南田はまだ私に気がある、その手を取るかどうかの選択権は「自分にある」と信じていた麻也子。
    自分をイイ気分にさせてくれる男性が、自分より1周り近く年下の女性と結婚すると知った時のショックは相当なものだったみたいです。ちょっとイイ気味…ですよね?
     
     
    ■大人の恋愛がぎゅっとつまった小説!
     
    麻也子が浮気をする相手は、作中では3人。
    1人目は南田、2人目はかつての恋人・野田、3人は偶然の出会いから始まった年下の男性通彦。
     
    特に野田さんはマスコミ業界ということで、いろいろな女性との出会いがあり経験値がかなり高い。
    私も航一、南田、野田、通彦の中なら野田さん一択です。
    32歳の女性の事をさらっと「女のコ」と言えちゃう男性ですからね。
    本気のお付き合いをしたら泣かされそうですが…。一緒に食事ぐらいなら楽しい時間を過ごせいそうです。
     
    夫を含め、同時に3人の男性と関係を持っていたこともある麻也子。
    「いやな女性だな〜」と思いつつも、ここまで自分の欲望に素直だと逆に尊敬の念すら抱きました。
    読んでいて思ったのは、案外、彼女の行動や考えを全面的に否定できる人のほうが少ないのではということ。
    そして酷い女であると同時に、彼女はどんな状況にあっても満足も妥協もできない、かわいそうな女性であるのかもしれません。
     
    内容も濃く、読みごたえたっぷりの大人のための恋愛小説。
    まだ読んでいないという方、ぜひドラマとセットでチェックしてみてくださいね。