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《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》その手紙は誰のため?『ラヴレターズ』

  • 2016年06月03日  猫元 わかば  



    メールが主流となり、存在感が薄れつつある「手紙」。今回はその中でもラブレターばかりを集めた1冊をご紹介します。作家やタレントが愛や感謝、思い出を詰め込んだラブレター。酸いも甘いも様々な愛の形を楽しめます。
     
     
    みなさんはラブレターを書いたり、もらったりしたことはありますか?
    私は小学生の頃、1度だけ好きな男の子にラブレターを書いたことがあります。
    使った便箋は「なかよし」だか「りぼん」だか、マンガ雑誌の付録のもの。
    内容までは思い出せませんが、1枚ちょっとの量を何回か書き直して、ようやく封をして、でも結局は渡す勇気がなくて机の裏に隠し、存在を忘れてしまいました。
    大掃除で部屋の片づけをしているとき、母親に見つかって「これラブレター?」なんてからかわれムキになって否定したことまでは覚えています。
    あの手紙は捨ててしまったので、ラブレターを書きはしましたが結局渡すことはできませんでした。
    もらったこと?もらったことはありません!ありませんとも!一度たりとも!
     
    さて、なぜこんな話をしたのかといいますと、今回ご紹介する本のテーマが<ラブレター>だからです。
    タイトルはストレートに『Love Letters(ラヴレターズ)』。
    作家や俳優など著名人が誰かのためにしたためたラブレターを寄せ集めた短編集です。
     
     
    ■『Love Letters』あらすじ
     
    女子なら1度はあこがれるラブレター。書くのも、もらうのもドキドキする魔法の手紙です。
    吉本ばなな、壇蜜、俵万智をはじめとした作家、俳優、タレント、落語家、ジャズピアニストなどなど様々なジャンルで活躍する著名人たちが最愛の、あるいは忘れられない人への思いをしたためました。
    昔の恋人や夫、クラスメイト。過去の自分や可愛がっていたペット。よく利用するお店…と手紙を送りたい相手はとってもユニーク。
    小説のようなドラマチックな出会いや恋、胸があたたかくなるお話、にがい失恋と内容もいろいろです。
    総勢26名の著名人たちの人生を変えた、あるいは支えになったエピソードや恋愛とはどんなものなのか。
    彼らの「ラブレター」を通してうかがい知ることができます。
     
     
    ■一番近くにいる存在!夫へのラブレター
     
    「ラブレターを書いてほしい」と頼まれたら、1番先に思い浮かぶのは現在進行形で好きな人、初恋の人、好きだけど別れてしまった…という昔の恋人あたりでしょうか。
     
    そんな中で、夫へのラブレターを書いたのは西川美和さん。2016年10月からスタートする映画『永い言い訳』の監督をつとめる女性です。
    西川さんが書いたのは、20年前まだ恋人だった旦那さんからもらった、熱い愛のこもった「別れの手紙」へのお返事。
    一部が引用されていますが、別れるつもりらしく「さようなら」で〆られた手紙は破壊力バツグン。
    「一生のうちで一度ぐらい人に執着し、無様に追いすがることがあってよかったと思っています」「君の美しさも醜さも全部ひっくるめて抱きしめたい」と書きつつ「二度と君を惑わすようなことはありません」と引くのがニクい。
    特に追伸の「俺の方が愛してたと思うんだけどなあ」は反則級でしょう。
    西川さんはこの手紙を見て「3年付き合っていた男性をぽいと棄て」旦那さんと一緒になると決めたそうです。
    (当時の旦那さんは結婚するには勇気がいる状態だったのかな?)
     
    そして旦那さんへ当てた西川さんのラブレターもとても素敵。
    「こんなことを、ひとに書く男を、私は今も昔もあなた以外に知りません。」なんて言われたら旦那さんもさぞや嬉しいことでしょう。幸せなご夫婦なんだろうな…。
    みなさん、いかがですか。結婚してから、お付き合いしてからのラブレター。
    誕生日や記念日などのサプライズで送ってみると、意外と喜ばれるかも?
     
     
    ■こんなのもあり!?復讐のラブレター
     
    もう1人、印象的だったのが壇蜜さん。
    以前に付き合っていた男性へ当てた「復讐のような」ラブレターです。
    出会いは15年前の大学の文化祭。「メアド教えてよ」とナンパされたのがキッカケだとか。
    その男性はすごくカッコイイ(それまで1番カッコいいと思っていたバイト先の男性よりもカッコイイ!と思ったそう)けれど、高圧的で自己中心的。
    彼の誕生日に会いたいとメールしたら約束の時間から3時間も待たされたあげく本人は現れず、連絡が来たのはその10日間後だった…という仰天エピソードも。
    学生だったら壇さんは、そんな彼すらも「かっこいい!」と盲目状態だったようです…。
     
    男性はマスコミ業界で働くことを夢見て、結局は失敗に終わりました。
    いまでは壇さんが彼の憧れていたマスコミ業界で働いている。皮肉なものです。
    彼の知らない世界を知り、夢見るほどきらびやかな世界じゃないと働きながら思い続けることが、彼の仕打ちへの最大の「お返し」なのだとか。
     
     
    ■最愛の“人”はコンビニ、飛行機、日本!?
     
    猫好きにおすすめしたいのが、小池真理子さんのラブレター。
    最愛の猫「ゴマちゃん」への思い出や愛がぎゅっと詰まった手紙は、ペットと暮らしている人なら涙なしでは読めないはず!
     
    面白かったのはコンビニエンスストアや飛行機、「日本」への恋文。
    読んでみると確かに「その心理は恋そのものだ!」と思えるのだから、感服いたします。
    欠点こそが魅力に見え、他人に貶されると腹が立ち、過剰にほめられても腹が立つ。
    読みながら「恋愛って面倒くさいよなあ」と思いつつ、読み終わる頃には自分の初恋やら何やらに思いを馳せてみたりするのでした。
     
    様々な出会いや恋愛がぎゅっと詰まった、ちょっと変わった短編集。
    自分だったら誰にラブレターを書くのか。
    考えてみるのもちょっとワクワクしますよ。