TOP > イククルコラム > 《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》やっぱりオンリーワンは女子の憧れ?

《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》やっぱりオンリーワンは女子の憧れ?

  • 2016年06月10日  猫元 わかば  



    「恋愛ってどんなもの?」この質問の答えは人によって違うはず。甘かったり苦かったり楽しいだけじゃありません。今回はそんな様々な面を1度に楽しめる小説をご紹介します。なんと1冊で24通りの恋愛を味わえるんですよ。
     
     
    ドラマや小説、マンガなどを見ていて「このシチュエーションやってほしい!」とか、男性から「1度はこんなセリフを言われてみたい!」と思ったこと、ありませんか?
    今回は<1度は言われてみたいセリフランキング>なんてものがあったらランクインしそうな『おまえじゃなきゃだめなんだ』というタイトルの小説をご紹介したいと思います。
    女子のハートをがっちり掴んで離さないこの台詞(タイトル)。
    角田光代さんが手がけた大人のための恋愛小説を集めた短編集なんですよ。
     
     
    ■『おまえじゃなきゃだめなんだ』あらすじ
     
    中学・高校と女子高に通い、男の子に免疫のなかった主人公。
    大学に入ってもうまく異性と馴染めなかった彼女は、就職し社会人デビューを果たすと共に男性から声を掛けられることが増えました。
    はじめてのモテ期に戸惑いつつも浮かれてしまい、誘われるままにデートを繰り返しては肉体関係を結ぶ。
    そんな生活を続けて、気づけば30代。
    自分の貞操観念がおかしいのだと気づいた主人公は、男性とマジメなお付き合いをしようと心に誓うのですが…。
    恋愛とに向き合おうと決意するアラフォーの女性を描く『おまえじゃなきゃだめなんだ』をはじめ、ジュエリーにまつわるお話など女子の<好き>や<憧れ>がつまった小説24編を集めた大人の恋愛小説集です。
     
     
    ■<モテ期>が原因でこじらせ女子に?
     
    本のタイトルにもなっている『おまえじゃなきゃだめなんだ』。
    とてもストレートなタイトルですが、中身は甘々の恋愛小説ではなく、なかなかシビア。
    女子高に通っていたせいで男慣れしてない主人公が、社会人になってモテ期到来!
    …までは良いのですが、そこからシンデレラ街道まっしぐらとは行きません。
     
    主人公がどのぐらいモテたのかというと、「あなたが来ると質のよい男の子をみんな持っていかれちゃうから」と合コンに誘われなくなったレベル。
    高級フレンチやイタリアン、高級ホテル、海外旅行と羽振りの良いカレシたちに囲まれ、来るもの拒まず、去る者は追わずなお付き合いを繰り返していました。
    そんな中でちょっと変わった出会いが訪れます。
    芦川さんというコーヒー豆の輸入販売業者で働いている男性。彼おすすめの<驚くほどおいしいコーヒー>を飲むためデートすることになりました。
     
    その途中で立ち寄った「山田」という名のうどん屋さん。
    有名店でも老舗の店でもない大衆的なお店で、味も普通。特徴は値段が安いぐらい。子供のころに通っていた芦川さん思い出の場所です。
    しかし、そんな話は彼女には関係なし。
    1人2万円のコース(もちろんオゴってもらう)が当然!な彼女は、「初めてのデートでこんな店!?」「その程度の女だと思ってるんだ!」と蔑ろにされた気分になります。
    一方の芦川さんは「やっぱり山田じゃなきゃだめなんだよなあ」とうどんをのほほんと食べている。
     
    初めて本音で話せる、一緒にいるだけで楽しいと思える相手だったのに、この件で芦川さんの株はダダ下がり。もちろんお付き合いすることなく関係は終わってしまいます。
    男性に免疫がなく、話すことすらできなかった女の子の姿はどこへやら。
    立派なこじらせた女子になってしまいました。
     
     
    ■いくつになってもオンリーワン!は女子の夢?
     
    そんな主人公も現在は38歳のアラフォー。
    20代のころの恋愛を恥じ、1対1のマジメなお付き合いをしていた年下のカレシから、他に結婚したい相手がいるとフられてしまいます。
     
    ここで失意のドンゾコに落ちるだけじゃないのが、彼女のよいところ。
    今までの愚行が自分に返ってきただけ。がんばって真人間になってやる!
    1杯のうどんに向かって「やっぱり山田じゃなきゃだめなんだよなあ」といった芦川さんを思い出し、「そんな風に言ってくれる男性を見つける!」と一意奮闘します。
     
    38と言う年齢設定がすごく生きるお話だと思いました。
    一般的に考えると38という年齢は遅いかもしれないけれど、人間の寿命を考えれば40歳手前なんてまだまだこれから。ようやく折り返し地点かな?という年代です。
     
    いまは恋人がいなくても、明日明後日、40代50代、もしかしたら60代になって自分の事を本気で好きになってくれる人や本気の恋と出会いがあるかもしれません。
    自分をしっかり見つめ直し、ダメなところも認めて再出発した主人公はとてもステキな女性に見えました。
    彼女を応援しつつ、気づけば彼女のタフさに勇気をもえらえるお話。
    何事も諦めずに前進あるのみ!ですね。
     
     
    ■恋愛に対して勇気がもえらえる1冊!
     
    ほかにもジュエリーを巡るオムニバス形式のお話や、カッコイイ男のまま彼女と別れるべく奮闘する男子のお話などいろんな味わいの恋愛小説を楽しめます。
    『おまえじゃなきゃだめなんだ』はもちろんですが、『最後のキス』と『幼い恋』もおすすめです。
    この2本は対になっているお話で、『最後のキス』は主人公・圭二が彼女と別れるお話。
    人生で初めてのバー。彼女は他に気になっている男がいるらしい。
    メニューもよく分からないし、本当は内心そわそわしているのに、「せめて彼女が最後に思い出す自分はカッコイイ男であってほしい」と願って、精一杯カッコつけます。
    「話があるの」と切り出した彼女に「いいよ、無理に言わないでも」なんて言って見せたりして。男性のこういう思考ってすごく可愛い。
    『幼い恋』は彼女側から見た、その後の話。圭二のがんばりは実を結んだのか?それは読んでからのお楽しみで。
     
    登場する女子の性格も年齢もばらばら。
    女子力満載な子もいれば、さばさばとした子、おばあちゃままで。きっと「自分と似てる!」と思えるキャラクターが登場するはずです。
    さくっと読めるのがうれしい短編恋愛小説。
    長い小説は苦手〜という方でも読みやすいので、見かけた際には手に取ってみてくださいね。