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《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》キューピッドは小説?『レインツリーの国』

  • 2015年11月13日  猫元 わかば  



    人と人が出会うきっかけは千差万別。今回ご紹介するのは1冊の本がきっかけで出会った男女が恋するお話。ネットで知り合い、メールから伝わる人柄に惹かれた主人公。相手の顔や声を知らぬまま恋に落ちた男子が奮闘します!
     
     
    今回は有川浩さんの『レインツリーの国』をご紹介します。
    この『レインツリーの国』は大人気「図書館戦争」シリーズのうちの1作『図書館内乱』の中で架空の小説として登場した作品を実際に書き下ろしたものだそうです。
    「図書館戦争」シリーズファンの方はタイトルを見てすぐにピンと来たのではないでしょうか。
     
    すでにラジオドラマ化されていましたが、いよいよ2015年11月21日から映画も始まります!
    主演はキスマイ(Kis-My-Ft2)の玉森くんと西内まりやさん。
    インターネット上での出会いがきっかけで恋が始まる男女のお話です。
     
     
    ●『レインツリーの国』あらすじ
     
    ふと気が向いて、中学時代に読んでいた『フェアリーゲーム』というライトノベルをインターネットで検索した伸行。
    大好きな作品ではあったものの、ラストの展開に納得がいかず、同じように感じている人やラストの考察をしている人がいないものか…と気になっていたのです。
    そしてたどり着いたのが「レインツリーの国」というブログ。
    管理人の「ひとみ」が『フェアリーゲーム』のラストについて持論を述べていました。
    その感想に胸を打たれた伸行は、思い切って「ひとみ」にメールを出します。
    一方通行で終わるものと思いきや、翌日メールの返事をくれた「ひとみ」。
    大好きな作品についてメールをやりとりするうちに、伸行は「ひとみ」と実際に会って話しをしてみたい…と思うようになります。
     
     
    ●1冊の本と1通のメールから始まる出会い
     
    「本がきっかけで恋が始まる」というのは、本好きの女子ならあこがれるシチュエーションではないでしょうか。
    ふと訪れた本屋さんやブックカフェ、図書館。偶然同じ本を読んでいた男子と目があって…とか。探していた本を目の前で手に取られて思わず「あっ」と声を漏らしてしまって…とかアリキタリなのでいいんですよ!!
     
    えー話を戻しまして。今回キューピッド役をつとめるのは、すでに絶版になってしまったライトノベル『フェアリーゲーム』。
    ネットで検索しても感想や考察サイトは見つからず、ようやくたどり着いたのがひとみの運営するブログ「レインツリーの国」でした。
    伸行はひとみの文章に真摯さを感じ、同じ作品を好きな人がいて、しかも同じ感想を持っている人がいる!とテンションが上がってしまい、ええいままよとメールを送ります。
    翌日にひとみからメールが届き、テンションMAXな伸行。
    『フェアリーゲーム』について語りたかったのは、ひとみも同じだったのです。
    伸行は主人公視点、ひとみはヒロイン視点で作品を見ているので「そんな読み方もあるのか〜!」と盛り上がれるのが楽しそうで羨ましい。
     
    しかし!正直に言うと、わたしは伸行のノリはちょっと苦手です。
    ブログを読んで感想を送るのはいい。
    ただメール本文が
    ・自分はこう思ってる!と持論を展開する
    ・ときどきタメ口になる
    ・自分で自分の文章にツッコミを入れる
    といった有様。
    初対面…いや初メールですよ?顔も知らない相手から「こんにちは。ブログ読みました。僕もラストについて改めて考えてみました。ちょっと聞いてください。(以下伸行の考察が続く)…あ、エキサイトしちゃった(笑)馴れ馴れしくてすみません」ってメールがいきなり届くんですよ?
    「送る前に推敲しろ!友達にメールしてるんじゃないんだぞ! 」
    と言いたくなるわけですよ!
    しかし、この物語のヒロインがわたしのようなタイプだったら何も始まりません。
    よかった。ひとみが偏屈な人間じゃなくて。
    (わたしはこうやって出会いの機会を逃しているんじゃなかろうか)
     
     
    ●文字だけのやりとりじゃ物足りない!
     
    メールのやりとりが増えるにつれ、相手に会いたくなるのは当然の心理。
    それが男女となれば尚更というものでしょう!
    2か月間メールが続き、会いたい要求が煮詰まってきた伸行は、思い切って「会ってみない?」と打ち明けます。
    しかしひとみはあまり乗り気ではない様子。
    なぜなら彼女は聴覚に障害のある「聾者(ろうしゃ)」だったのです。
     
    実際に会ってみると2人はささいなことですれ違ってしまいます。
    「健聴者に大変さは分からない」というスタンスのひとみに、伸行は「努力しているのに歩み寄ってくれない」とムッとすることも。
    ひとみの健聴者との距離の取り方は、イヤな思いをして来たせいもあって臆病になりすぎている部分もある。
    伸行は聴覚障害について勉強しても客観的な知識が増えるだけで「耳が聞こえない」状態を実感できるわけではない。
    そのすれ違いが見ていてもどかしく、ぶつかり合う2人は痛々しいばかりです。
     
    1回目のデートはひとみが聴覚障害を隠していたこともあり、最悪の結果に。
    「これで終わらせたくない!」と思った伸行はチャットを借り、2人きりで話し合える場所を作ります。
    思っていること。聴覚障害のこと。言いにくいこと。聞きにくいこと。2人は素直に文字で表現して距離を縮めていきます。
    そして迎えた2回目のデート…もすんなりとはいかず。伸行が聴覚障害の知識を身に着けたからこそ生まれるすれ違いもあったりして。一進一退な2人にやきもきしながらも、結末が気になってページをめくる手が止まりませんでした。
     
     
    ●ネットも貴重な出会いツール!恋だって始まる!
     
    SNSやスマホが普及し、ネットで知り合った人とリアルで遊んだりオフ会に参加するのも当たり前の時代になりました。
    私の友達にもネットで知り合ってお付き合いに発展し、結婚した子がいます。
    いまでは子どもが2人も産まれて、いそがしくも幸せな結婚生活を送っているようです。
    今年も家族写真入りの年賀状が届くかな〜。
     
    学校や職場などの生活圏内から離れて、思わぬ出会いが生まれるのがネットの良いところ。
    趣味のつながりなら話も尽きないし、語り合うのも楽しいはず。
    それに運命の人が身近にいるとは限りませんから!
    わたしも思い切ってオフ会に参加してみようかな…。
    『レインツリーの国』は「図書館戦争」シリーズを読んでいなくても楽しめる作品なので、ぜひ手に取ってみてくださいね。