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《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》ギャップが恋を制す?『コンビニ夢物語』

  • 2016年03月04日  猫元 わかば  



    歩いていると必ずといっていいほど見かけるコンビニ。今回の小説はコンビニを通じて家族との絆や友情、出会いや別れが描かれています。舞台はコンビニが1軒もない町・香住。映画の公開も間近に迫ったハートフルな作品です。
     
     
    みなさんはコンビニをどれぐらい利用していますか?
    会社へ行く途中にお昼ごはんを買ったり、学校帰りにおやつを買ったり。
    お金もおろせるし、配達もしてくれるし、気づけば生活に密着したお店になりました。
    私は冬になるとコンビニで売っているほかほかのピザマンが恋しくなります。
     
    今回ご紹介する小説は、そんな生活の一部になりつつある「コンビニ」が舞台の姫井由美子さん著『コンビニ夢物語』です。
    2016年3月には映画の公開がスタートする本作。
    コンビニが1軒もない田舎で、新しくコンビニを始めようと奮闘する若い男性とそれを支える恋人や家族との絆が描かれています。
     
     
    ■『コンビニ夢物語』あらすじ
     
    太田美香は子どもの頃から住んでいる香住の町で坂上酒店の手伝いをして暮らしています。
    坂上酒店は美香が小・中・高校と同級生だった幸一の父親・幸造が営んでいるお酒屋さん。
    幸一と幸造が仲たがいをし、幸一が東京に飛び出してからずっと美香は坂上酒店で働いています。
    ある日、美香と幸造が車で配達に出かけると、途中で交通事故にあってしまいます。
    幸造は心臓に持病があり、それが悪化して運転を誤ってしまったのです。
    父親が入院をしていると聞き、東京から駆け付けた幸一。
    ところが幸一の顔を見るなり幸造は怒鳴って追い返そうとします。
    しかも坂上酒店をコンビニにしようという話まで聞かされて、幸造の怒りはおさまりません。
     
     
    ■イケメンで愛想がよくて、人気者!本当にそれだけ?
     
    父親とケンカして家を飛び出した幸一。
    東京に来たばかりの頃こそ苦労していたようですが、いまではコンビニ「ベンリ・ドリーム・マート」、略してBDMの店長をつとめています。
    この幸一がかなりの高スペック男子のよう。
    外見は「俳優と間違われるほどのルックス」「優しい顔」と書かれていて、店のある界隈のOLや女子学生の間では有名人なのだとか。
    そして高校の野球部でエースだったこともあり、女の子からキャーキャー言われるのに慣れている。
    バイトの女の子から想いを寄せられてもどこ吹く風、なワケです。
    実家が酒屋さんなので、接客に慣れていて愛想が良い。
    野球部の先輩も「あいつはすごい」「野球部の歴史に残る試合をした」とべたボメ。
    悔しくなるぐらいのイケメンっぷりです。
     
    でも、読んでいると果たして幸一は万人から誉めそやされるほどの人間なのか?と疑問に感じることもしばしば。
     
    例えば幸一が東京で出会い、恋人になった女性・京子との付き合い方とか。
    京子はバツイチの子持ちで、香織という中学生の娘がいます。
    香織に「いつお母さんと結婚するの?」と聞かれ、幸一は「まだ分からないよ。今は開店の準備もあって…」と言葉を濁す。
    そのセリフを聞いて香織がバカにしたような顔で幸一を見るというシーンがとても印象的でした。
     
    バツイチの女性とお付き合いをする以上、それぐらいの覚悟できてたんじゃないの!?
    とちょっと腹立たしくなった私(笑)。
    学生時代は美香と付き合っていたのに、父親との喧嘩を理由にほっぽりだして東京へ行ってしまうし。
    男性から見ると「良いヤツ」なのかも知れませんが、付き合いが深い女性から見ると「ちょっとどうなのよ!?」とふがいなさを感じてしまう所もありそうです。
     
     
    ■恋愛においてギャップに優るものはなし!?
     
    作中には幸一へ思いを寄せる2人の女性が登場します。
    1人は幸一の実家・坂上酒店で働く美香。
    2人の出会いは子どもの頃までさかのぼり、家族ぐるみのお付き合いをするぐらいの腐れ縁です。
    お父さんの幸造もすっかり美香を気に入っていて、「幸一と結婚してくれよ」なんていっていたぐらい。
    いまでも「てっきり美香ちゃんと結婚すると思ってたのに」と残念そう。
    美香は美香で、ひさしぶりに見た幸一の姿にときめいてしまうし…。幸一ってば罪な男だ。
     
    そしてもう1人が東京で知り合った女性・京子。
    2人の出会いは幸一がコンビニの店長に抜擢されてからのこと。
    本部で働いていた京子が幸一の働きぶりを視察に来たことから始まりました。
    前述のとおり京子はバツイチの子持ち。男を見る目がなく、男運も悪い。その自覚があるため、男性に対する警戒心がとても強い。
    そんな京子からすれば、イケメンで誰にでも愛想のいい幸一は超要注意人物。
    「ぜったい遊び人だわ」と第一印象は最悪でした。
    しかし仕事に対する熱意や、本部の人間である京子にも物おじせず意見してくる姿に惹かれてしまいます。
     
    ここでも登場しました、おなじみの「ギャップ」。
    この場合はギャップというより京子の「愛想のいい男性にロクなのはいない」という先入観を壊した…というほうが正しいですが。
    相手に意外性を感じさせ、印象に残る点では同じようなもの。
    <その他大勢>から抜け出して、相手の意識で自分を差別化させるためにも、やっぱりギャップの存在を甘くみてはいけません。
    幸一も京子の弱い部分をちらっと見せられて意識していますし、女子にとっても男子にとっても「ギャップ」は効果絶大の特効薬…に違いない!
     
     
    ■ギャップを制するは恋愛を制す!?
     
    京子と幸一の出会いを見て、ギャップの重要性を再認識したのはよいのですが、その「ギャップ」をどう作り出せばいいのか…。
    自分という人間がどう見られているかを理解しなければギャップも何もないわけです。
     
    たとえば身近なところで、友人や家族に自分がどんな人間か尋ねてみるのはどうでしょう。
    「猫元は〜だけど、意外と○○な所もあるよね!」と自分のギャップという新しい魅力に気付けるチャンスをくれるかも。
    その部分を磨いていけば、すてきなギャップのある女子への道も近いはず!
    (もちろん「料理はうまいけど片づけはヘタ」のヘタな部分は磨いちゃマズいですけど…)
    ギャップ萌えは1日にしてならず。まずは自分を見つめ直すところから始めなくては…。