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《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》ハリウッドは恋愛もゴージャス!?

  • 2016年01月29日  猫元 わかば  



    セクシーでゴージャスで上品なハリウッド女優は女子の憧れの存在。今回ご紹介する小説の主人公は、そんなハリウッド女優を母に持つ大人びた少女です。男性との恋愛を通じて孤独や不安と戦いながら大人へと成長していきます。
     
     
    今回は作家パメラ・ムーアが手がけた『チョコレートで朝食を』というタイトルの、海外小説をご紹介します。
    1956年に初めて出版された本作。
    執筆当時パメラは18歳という若さだったといいます。
    主人公はハリウッド女優を母に持つ娘・コートニー。
    描かれるのは彼女のゴージャスな日常の中で出会った男性たちとの恋愛模様です。
    訳者の糸井恵さんは1950年代版『ゴシップガールズ』と表現しています。
    長らく絶版のままでしたが、作家の息子・ケビンのはからいにより再び日の目を見ることとなりました。
     
     
    ■『チョコレートで朝食を』あらすじ
     
    ハリウッド女優の母と、ニューヨークで有名な出版社に勤める父を持つ15歳のコートニー。
    大人に囲まれることの多かったコートニーは、同じ年頃の「子ども」があつまる学校になじめず、友達と呼べるのはルームメイトのみ。
    コートニーの唯一の楽しみは、教師のミス・ローゼンと文学について語り合うことでした。
    しかしコートニーはミス・ローゼンから「同い年の友達を作るべき」と2人で会うことをとを拒絶されてしまいます。
    なかなか同級生の友達ができないでいると、ある日、一緒に暮らさないかとハリウッドで暮らす母親から手紙をもらいます。
    よろこんで退学し、ハリウッドに向かったコートニー。
    いろいろな男性と出会い、恋をして、悩みながら大人へと成長していきます。
     
     
    ■適度な皮肉は魅力につながるかも!?
     
    母親がハリウッドで女優をしているだけあって、コートニーもとても美しい顔立ちをしています。
    もちろんスタイルもばつぐん。緑色の瞳が印象的な女の子です。
    母親をはじめ、ハリウッドで活躍する俳優や女優に囲まれる機会の多かったコートニーはすっかり大人びた女の子に成長してしまいました。
    「本当に15歳?」と男性に驚かれるシーンからも、コートニーが子どもらしからぬ魅力を秘めている女の子だと分かります。
     
    同年代やクラスメイトの女の子・男の子が子供に見えてしまい、話が合わない。
    そう思い込んでいて(実際そうなのだろうけども)、距離を置いていたために、いざ話しかけようとしてもうまくいきません。
    おしゃべりの輪に入れても話を合わせられず、皮肉っぽいことばっかり言ってしまいます。
    本人にはそのつもりがないらしいのですが、「どこかエラそう」と思われることもしばしばです。
    でもそこが魅力的であったりするんですよね。
    コートニーと関係を持つようになった男性も、コートニーのあけすけな遠慮のない言葉にムッとしつつ「こんなこと言われたの初めて」「おもしろい子」と逆に彼女に興味を持ってしまう。
     
    なるほどなるほど…程度をわきまえれば、皮肉というか男性にとって耳が痛い言葉もプラスになるのか…。
    でもコートニーは15歳ですからね。
    15歳には許されても、アラサーに「あなた、このまま飲んだくれた俳優のままでいいの?」って言われても「うるさいな!」としか思われない可能性も…。
    何はともあれ、優しく従順な言葉だけじゃなく、たまにはスパイスとして辛口なセリフを言ってみるのはいいかもしれません。
    「この子、俺のこと考えてくれてる?」って思わせられる…かも?
     
     
    ■フツーの男じゃタイクツで物足りない!?
     
    作中で、何人かの男性とイイ感じになるコートニー。
    ですが男運が悪いというのか、なんというのか。ふつーの相手では物足りないようで、一クセある男性に魅力を感じてしまうようです。
     
    例えばコートニーの母親・ソンドラにお酒をたかりにくるバリー・キャボット。
    最近めっきり仕事が減ってしまった、28歳…アラサーの俳優です。
    生意気な口をきくコートニーにバリーは好感と興味を覚え、一目で気に入ってしまいます。
     
    コートニーの初めての相手になるわけですが…なんとバリーは両性愛者なのでした。
    コートニーと深い関係になる前から、ジョージという男の恋人がいたのです。
    ジョージはバリーが一文無しのときから世話をやいてあげるなど、とても世話になった人で付き合いが続いているようです。
    しかし現在バリーはコートニーにお熱中。
    ないがしろにされて頭にきたジョージが部屋に乗り込み「電話の1本もくれない!」とケンカになるシーンがあります。
    バリーはコートニーを特別な存在と思いながら、ジョージと別れる気はないんですねえ。
    酷い男だわ。
    結局、母親の借金の関係でハリウッドから引っ越すことになり、コートニーは彼とそのまま疎遠になってしまいます。
     
    ほかにも母・ソンドラが借金をしている相手とか、白いバスローブにバラを一輪手に持っているという強烈な初登場をかますインテリお金持ちとか。
    ちょっとお付き合いが難しそうな男性に惹かれてしまうのでした。
    気持ちは分かるけれどもね。
     
     
    ■リッチでゴージャスな恋愛を味わえる!?
     
    ハリウッドの流儀なのか、毎日のようにパーティーざんまいなコートニー。
    タイトルは『チョコレートで朝食を』なんて甘ったるい、ロマンチックな感じがしますが実際は起きてぬけにカクテルを飲んでパーティー!なんてことも。
    お酒を飲んでタバコを吸って、男の子たちと過ごすのが当たり前の日常なのです。
     
    あと「デート」という言葉がぽんぽん飛び出すのにちょっと驚きました。「いろんな男の子とデートしなくっちゃ!」とコートニーは友達だけでなく母親からも言われていたので、アメリカで「デート」はそこまで重要な意味ではないのかも知れませんね。
     
    ケータイもスマホもパソコンも登場しないけれど、1950年代に書かれたとは思えないぐらい、いまっぽさに溢れた小説でした。
    もともとは男の子の名前だった「コートニー」がこの本の出版後、女の子の名前になったというのですから影響力はかなりのものだったようです。
    ティーン時代を思い出しながら読んでほしい1冊。
    2015年の冬に登場したまだ新しい本なので、見かけたときは手に取ってみてくださいね。