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《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》合コンで運命の出会い!『ワンナイト』

  • 2016年01月01日  猫元 わかば  



    男女の出会いの場「合コン」。今回は合コンがきっかけで、結婚にいたったアラサーカップルが登場する小説をご紹介します。イヤイヤ参加した絶食系女子から結婚願望の強い肉食系女子まで。個性豊かな恋愛事情を楽しめます。
     
     
    今回は大島真寿美さんの『ワンナイト』をご紹介します。
    コラムで紹介する本を探しているときに偶然出会ったこの小説。
    何が私をひきつけたのかと言いますと、開始早々でてくる「合コン」と「オタク」という単語でした。
    アニメや漫画が好きで恋愛に興味がなく、30歳を過ぎて恋人もいない義理の妹を案じて、送り出した30代をすぎた男女があつまる合コン。
    そこでの出会いをきっかけにストーリーが動き出します。
    結婚したり、逆に別れてしまったり…合コンを通して出会った男女の恋愛や結婚までの道すじが描かれています。
     
     
    ■『ワンナイト』あらすじ
     
    夫婦でステーキハウスを営む鏡子は、ひょんなことから常連客に頼まれ店を合コンの場として提供することになります。
    まじめに結婚したいと願う30代半ば過ぎの男女を集めた合コン。
    鏡子は、そこに義理の妹・歩を参加させようと思い立ちます。
    歩は35歳・独身。アニメやゲームが好きないわゆる<オタク>で、「いつになったら結婚するのか…」と実母や兄(鏡子の旦那)から心配されていました。
    乗り気ではない歩は合コンでも愛想がなく、アニメやゲームの話ばかり。
    男性とも会話がはずんでいるようには見えず、「やっぱりダメだったか…」とガックリ。
    ところが歩は水面下で合コンで出会った同じ趣味を持つ男性と交際を始めていたのでした。
     
     
    ■35歳、絶食系女子にも出会いが!
     
    男女3:3で行われた“結婚したい男女が集まった(はずだった)”合コン。
    とくに印象的だったのは、やっぱり歩の出会いでしょうか。
    ライトノベル作家の歩は、漫画やゲームに囲まれたオタク部屋で暮らす35歳。仕事柄いつも家にいて、化粧っけもなく、常にジャージ姿。
    あれ?私がここにいるぞ…? 
     
    とにかく歩は合コンに否定的。
    合コンの誘いを断れず、愚痴をこぼすために電話した元カレ(彼氏がいたことはあるのだ!)に「なんかヤじゃん、品定めされるみたいで」と言ってみたり。
    いままで合コンの類をあえて避けてきたのでした。恋愛や結婚願望もまったくなし。
     
    そんな歩でしたが、合コンに参加した戸倉という男性が、かつて歩が手がけたゲームのノベライズの読者だということが判明。
    「ということは、こいつ、お仲間じゃん!」と一気に親近感を覚えます。
    メアド交換はしないまでも、相手の男性は自分が遊んでいるオンラインゲームやSNSのアカウントをそれとなくアピール。
    そのアカウントにメッセージを送るとすぐさま返事があり、オタク話で盛り上がりすっかり意気投合してしまいます。
    気付けば毎日のようにメールをして、2人で食事をする仲に。
     
    しだいに「オタク部屋を見せてもこの人は驚かないだろうな」とか、「自分がてきとーにつくった料理もおいしいと食べてくれるそう」なんて考えるようになったり。
    そして「自分がつくったシチューを食べながらオンラインゲームしたいなー」ときゃっきゃうふふと妄想をくり広げるまでになります。
    頭の中がくすぐったい、なんてすっかり恋する乙女モードな歩。
    読みながらあわーい恋の始まりにニヤニヤしてしまうのでした。
     
     
    ■過去の恋愛がアダに!?肉食系のこじらせ女子
     
    絶食系の歩とは対照的に、とにかく「結婚!結婚したい!結婚して幸せになりたい!」という肉食系の女性も合コンに参加しています。
    40歳の影が忍び寄り始めた彼女。名前はさなえさん。
     
    結婚相談所に登録するぐらい、彼女の結婚に対する真剣さは本物です。
    ところが付き合った男性や相談所のアドバイザーは「恋愛に自分なりのイメージがあって、その通りにならないとイヤなのでは」「相手への希望や期待が大きすぎる」とバッサリ。
     
    その原因は、過去の恋愛にあります。
    彼女は不倫をしていたのですが、その相手は1回り以上年上の、出張で外国を飛び回る男性。
    エスコートがうまく、日常会話のように愛をささやいてくれる「大人」な男性だったようです。
    ホテルや食事のチョイスも高すぎないけれどムードのある素敵な場所につれて行ってくれる。
    そんなハイスペックな男性との恋愛が基盤にあるため、自然と高望みする女性になってしまったんですねえ…。
    そして売れ残ってしまう…とビクビクしつつも、「自分が相手を選ぶ立場だ!」という姿勢がしみついていて崩せないという。
     
    何がすごいって、不倫がバレて会社を辞め、「これが彼の策略だったのでは…」と気づいたとき、怒るどころかますます彼にほれこんでしまうんです。
    やっぱりステキ!こんな窮地もさらっと抜け出すのね…といった感じで。
    盲目過ぎる…。いやむしろ逆にかっこいい。すがすがしい。
    このエピソードですっかり彼女のファンになってしまいました。
    でも結婚に苦労するだろうなあ…という私の不安は、きっちり良い方向に裏切られるのでご安心ください。
     
     
    ■恋も結婚も合コンも年齢なんか関係ない!
     
    一癖も二癖もある男女が登場するので、読んでいてとても楽しめる小説です。
    恋愛だけでなく結婚の形もいろいろあるんだな〜と改めて感じられました。
    特に結婚願望があまりない女性には、歩の恋愛のスタイルは目からうろこが落ちるのでは。
     
    そして合コンや恋愛や結婚に年齢は関係ない!とも思わせてくれました。
    30過ぎたって40手前だっていいじゃないか。うんうん。
    嬉しいのが、特に恋愛結婚に興味がなかった歩も、「結婚したい!」と切に願って行動していたさなえさんもしっかり報われている所。
    努力してれば結果はついてくるし、偶然出会ってとんとん拍子に結婚することもあるよ、焦らなくてもいいよ、と作者が背中を押してくれているような気がしました。
    このタイトルを見かけた際には、ぜひぜひ手に取ってみてくださいね。