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《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》結婚か恋愛か?『きみに読む物語』

  • 2015年09月11日  猫元 わかば  



    理想の男性像は誰しも持っているはず。恋人と結婚相手では求める内容が違うという人もいるでしょう。ではもし「この人だけ!」と思った初恋相手と「理想ぴったり!」な結婚相手が同時に現れたら、どちらを選びますか?
     
     
    みなさん海外ドラマはご覧になるでしょうか?
    私は洋ドラ大好きで、イケオジウォッチングもかねていろいろ見ています。
    主役のカッコよさは言うまでもなく、脇役やマスコット的なキャラクターを演じる俳優さんも個性的でとってもチャーミング。
    なぜ海外の俳優さんは髪が薄くても、おなかが出ていてもステキに見えるのでしょうか…永遠の謎です。
     
    今回ご紹介するのはニコラス・パークスの『きみに読む物語』。
    2004年にすでに実写映画化されていますが、今回キャストもあらたにアメリカでドラマ化が決定したとのこと。
    タイトルは知っていましたが、お恥ずかしながら原作も映画も未見でした。
    なのでこれを機会に読んでみよう!と思い手に取ることにしました。
     
     
    ●『きみに読む物語』あらすじ
     
    ノアは生まれ育ったニューバーンの地にもどり、ひと財産かけて古くなった家を修復していました。
    するとある日、かつて恋した女性・アリーがノアの元を訪れます。
    2人は愛し合っていましたが、ノアの身分が貧しかったため、良家の娘であるアリーは両親から関係を反対されていたのです。
    夏が終わるとアリーは家族と共に実家のウィンストン・セーラム帰ってしまい、ノアは手紙を何度も出しますがアリーから返事がないまま2人の関係は途絶えてしまいました。
     
    再会したアリーから婚約していることを聞かされ、ショックを受けるノア。
    自分の気持ちを抑えながら思い出話に花を咲かせるうちに、ノアは過去のアリーではなく今目の前にいるアリーに恋をしていることに気が付きます。
     
    小説は年老いたノアがアリーに2人の再会の様子を物語形式で話して聞かせる形で始まります。
    2人は同じ療養施設に入っており、アリーは認知症を発症していて、ノアのことを覚えていません。それでも時おりノアのことを思い出し、「愛している」と告げるのです。
     
     
    ●やっぱり初恋は忘れられない?
     
    2人が再会したときノアは31歳、アリーは29歳です。
    何人か気になる女性と出会いつつも、アリーを生涯1人の女性と信じつづけてきたノアは未婚を貫いています。
     
    対するアリーにはロンという婚約者がいます。
    ロンは家柄も良いのですが、親の仕事は継がず弁護士として生計を立てています。
    ハンサムで知的で、優しくて、ユーモアもあって誠実。
    仕事に情熱を傾けるタイプで、アリーにとって「彼はまさに必要としているものを持っている男」なのです。
     
    読みながら「ええっ!?そんな良い男性がいるのにノアとより戻したいの!?」とビックリしてしまいました。
    でもいざ最後まで読み終わってみると、2人それぞれも魅力が見えてきて、ちょっとアリーの気持ちが分かったような気がします。
     
     
    ●結婚か恋愛か。安定か刺激か
     
    ロンは「結婚するのに理想の人」。
    安定した毎日が送れるだろうな…とその後の生活を想像しやすい。
    経済力に不安はないし、暴力もふるわない。優しい。面白い。しかもハンサメン。
    うん、結婚するには何の問題もない。これだけの条件がそろっていて何の不満があるというのか。
    ただロンは仕事に時間を割かれるので夫婦の時間はちょっと少ない(ロンも「申し訳ない」「改善したい」と思っているので私的にはクリア)
    ことと、8歳年上というのが人によってはアウトかな?というぐらい。
     
    一方のノアは「恋愛したい人が好きになるタイプ」といった感じ。
    詩を愛読していて、その時その時に合った詩を読んで聞かせてくれたり、きれいな景色の場所につれていってくれたり。
    一緒にいるとワクワク・ドキドキできる。
    2人が再会した翌日、連れて行きたい場所があるといってノアはアリーと一緒にカヌーででかけます。
    連れて行かれたのは隠れた場所にできた小さな湖水。
    ハクチョウなどたくさんの鳥たちが羽を休めていて、アリーはその羽を触ったりノアが用意したパンを与えたり、とても楽しそう。
    そしてアリーがなんとなく諦めてしまった「芸術家になる」という夢にあっさりと火を灯してしまった。
     
    ノアはアリーにとって刺激や新しい発見をさせてくれて、情熱を自分に傾けてくれる着火剤のような人物。
    また詩を愛する文学青年的なところがあるのに逞しい体つきというギャップ!
    ギャップ萌えまでかね備えているノア。これはずるい。反則。
     
    そんな2人に挟まれて、結婚をとるか恋愛をとるかアリーは頭を抱えるわけです。
    何てぜいたくな…婚約までしておいて…。
    本人は身を引き裂かれるような痛みを感じているようですが、
    「どっちか1人くれよ〜」と思ってしまう非モテの心理も理解してほしいものです。
     
     
    ●あなたはノア派?ロン派?
     
    ノアもロンもそれぞれよさがある。
    アリー自身も「2人とも愛している」「種類が違う」と言っています。
    それが結婚相手としてか恋人としてかということなのでしょう。
    結婚には安定を求めたい私はロン派ですが、いざ付き合ってみると刺激が欲しくなるものなのでしょうかね…。
     
    またロンが良い人なんですよ!
    アリーを貶したり詰ったりすることもなく最後まで紳士的。
    ノアの比較対象として、つまらない男に描かれるのかと思いきやそんなこともなく…。
    幸せになってほしいです。
     
    療養施設の部分は、以前ご紹介させていただいた若年性アルツハイマーを扱った小説『静かなアリス』にくらべると物語的な面が多く、小説だなあという感じ。
    実際にアルツハイマーを患った身内がいる方がみれば「都合がよすぎる」と思われるかもしれません。
     
    でも、ご都合主義でもキレイごとでも良いんじゃないかな。小説ですからね。
    愛の力のなせる業ということで。