TOP > イククルコラム > 《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》複数の愛『ポリアモリー』とは?

《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》複数の愛『ポリアモリー』とは?

  • 2015年07月24日  猫元 わかば  



    世界には同時に複数のパートナーを愛し、心を通わせる『ポリアモリー』を実施する人々が存在します。もちろん浮気ではなく本気。彼られは一夫一妻という概念に囚われず、自分の気持ちに素直に恋愛を謳歌しているのです。
     
     
    今回は小説ではなく、平凡社から発売された『ポリアモリー 複数の愛を生きる』をご紹介したいと思います。
    タイトルも「なになに?どういうこと?」とかなり興味をそそられますが、帯には「その愛は、浮気ではない。本気だ」とさらにインパクトのある一文。
     
    本著はほとんどの社会で一般的とされる一対一・一夫一妻のライフスタイルに囚われず、同時に複数の相手を愛しながら暮らしている人々について書かれたものです。
    著者・深海菊絵さんが実際に目で見て、肌で感じた「ポリアモリー」とは、一体どのようなものなのでしょうか。
     
     
    アメリカで生まれた<ポリアモリー>という生き方
     
    馴染みがない言葉『ポリアモリー』。
    これは1990年代の初めにアメリカで作られた造語なのだそうです。
    由来はギリシア語の「複数」(poly)とラテン語の「愛」を意味する「amor」。
     
    先にも述べた通り、ポリアモリーは「同時に複数のパートナーと感情的に深くかかわる親密な関係を築くこと、またその実践」を意味します。
    特定の恋人やパートナーがいるにも関わらず、他者と関係を持つことは「浮気」とみなされ、一般的には非難の対象のはず。
    外から見れば同じように見えてしまいますが、実はこの2つ全くの別物なのです。
     
     
    <ポリアモリー>と<浮気>はまったく別物?
     
    一対一の関係が正しいとされる社会において、この生き方は偏見の目で見られることも少なくありません。
    そのためポリアモリーを実践する人たちは「責任ある」「誠意のある」関係や「感情のつながり」に重きを置いています。
    ウソやごまかし、言い訳はもってのほか。
     
    浮気や不倫は、恋人やパートナーにウソをついていますが、ポリアモリーは違います。
    「私はあなたの他にも好きな人がいます(好きになる可能性があります)」
    とパートナーにしっかり伝える。
    自分の恋する気持ち、人を愛する気持ちを肯定し、尊重し、隠さず告白し、そのまま受け入れてもらう。また相手の告白を受け入れて尊重するという点がポリアモリーと浮気の大きな違いです。
     
     
    本当に1度に複数の相手を愛せるのか?
     
    言葉の意味は分かっても、いまいち納得できないかもしれません。
    筆者もポリアモリーを実践する夫婦に取材をした際、妻から「彼女が夫の恋人よ」と1人の女性を紹介されたときは、やはり驚いたと書いています。
     
    作者はある実践者の言葉を引用します。
    「2人の子どもがいる親が、1人の子どもを持つ親より愛情を注いでいないとはいえないだろう。愛は人数によって分割されるものでも、有限なものでもない」
     
    なるほど。これなら分かりやすい。
    血のつながっている子どもと血のつながりのない他者を純粋に比較するわけにはいきませんが、「愛は同時に複数に注がれうるものである」という説明としてはうなずけます。
    多頭飼いのペットもそうですよね。
    みんなそれぞれにかわいいし、同じだけ愛情をそそげます。(少なくとも私はそのつもり)
     
    そしてポリアモリーと一言でいっても、関係はさまざま。結婚していて恋人がいる、恋人が複数いるなど本著では7種類のかたちが紹介されています。
    また一夫一妻を認めている人、一夫一妻に疑問を持ちポリアモリーになった人。ポリアモリーを掲げつつもパートナーに巡り合えず独身だったり、一夫一妻のままでいるカップル…など考え方や実態もいろいろあるようです。
     
     
    誰でも簡単にポリアモリーを実践できるか?
     
    例えば、Aという恋人がいるのにBも好きになってしまった。
    ポリアモリーを実践するなら、まずは今の恋人に打ち明けなければなりません。
    「あなたのことは好き。でもBさんも好きになってしまったの。2人と付き合いたいわ」
    もちろんBさんにも同様です。
    「私にはAという恋人がいる。でもあなたも好き。2人と付き合いたいの」
    現恋人のAも新恋人のBも好意的に受け止めてくれました。ポリアモリー開始です。
     
    AさんとBさんとお付き合いも順調。
    幸せ気分にひたっているところ、2人からそれぞれ相談を受けます。
    「他に好きな人ができた。きみのことは愛しているが、彼女のことも愛しているから付き合いたい」。
     
    モヤっとしません?私はモヤっとします。
    でもポリアモリーですから。恋人が素直に告白してくれたことをよろこび、受け入れてあげましょう。
    「私はポリアモリーだけど、あなたはだめ。私だけ見てて」なんてムシが良すぎるのもいいところです。
     
    作者は言います。ポリアモリーは「所有しない愛」でもあると。
    恋愛の醍醐味でもある「独占欲」はポリアモリーにはご法度。
    お互いの成長を邪魔する危険があるもの、なのだそうです。
     
     
    結婚や恋愛の形は1つじゃないはず
     
    ポリアモリーを実践するに至ったきっかけは人それぞれ。
    自分の気持ちを押し殺しても、どうしても恋人以外の人を好きになってしまう…と悩んだ末、ポリアモリーに巡り合ったという例も紹介されています。
    同じような悩みを抱えている方にとって、この本は自分らしい生き方を見つけるキッカケになるかもしれません。(もちろん浮気の言い訳にポリアモリーを使ってはダメですよ!)
     
    興味本位から読み始めた本ですが、「人が人を愛するとはどういうことか?」と考えさせらる、とても興味深い内容でした。
    アメリカが中心のポリアモリーですが、最近ではアジアン・ポリアモリーも登場しはじめているようです。近い将来、ポリアモリーが当たり前のように恋愛の1選択肢になっている…可能性もあるかも?