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《ヒモノ図書館員の恋愛強化書》親友に恋してた!?『Friends』

  • 2015年11月27日  猫元 わかば  



    気が合って、なんでも相談できて、一緒にいると楽な「親友」。今回は、親友へ抱いていた感情を「友情でなくて恋かも…?」と悩んでしまう女の子のお話です。友情と恋愛。考えてみると、この2つの感情は似ているかも?
     
     
    今回ご紹介する1冊は今野緒雪さんの『Friends』です。
    本屋さんをブラブラしているときに目に入った小説で、表紙のイラストと<親友同士のピュアストーリー>という帯の一文が気になり手に取りました。
     
    作者の今野さんは「マリア様がみてる」という大人気少女小説を手掛けた作家さんです。
    ご存知の方いらっしゃるでしょうか。
    マンガやライトノベル好きの間では絶大な人気を誇った、超人気シリーズなんですよ。
     
    そんな作者が手がけた、できたてほやほやの小説がこちらの『Friends』。
    本作は、主人公が親友への感情に戸惑うお話です。
    「友情だと思っていたけど、実は恋なのかも…?」と距離が近いゆえにぐるぐるぐるぐる…。
    少女マンガ好きにはたまらない内容になっております。
     
     
    ■『Friends』あらすじ
     
    美大に通うカスミには高校のころから仲のよい碧という親友がいます。
    とても気が合い、お互いに一緒にいるのが当たり前な存在。
    碧とつるんでばかりいるせいか、カスミには恋人の「こ」の字すら見えそうにありません。
    そんな彼女を見かねて、ある友人がカスミを合コンに誘います。
    うまく断りきれず合コンに参加することになってしまったカスミ。
    友人から「碧には内緒にしておいて」と念を押され、碧に打ち明けられないまま、合コン当日を迎えてしまいます。
    初めての合コンにうまくなじめないカスミの前に、変装した碧が現れて――。
     
     
    ■親友だと思っていたはずが…
     
    幼馴染や男友達を好きになってしまったor告白されたというエピソードは少女マンガなどでもよく見るテッパンの胸キュン設定。
    それまでの関係を壊してしまうかもしれないと悩むじれったさが甘酸っぱくも女子を魅了してやみません。
     
    今回は幼馴染でも男友達でもなく、もっと親密度の高い「親友」というポジション。
    カスミと碧の出会いは高校時代にさかのぼります。
    碧は何でもカスミとおそろいにしたがるカスミ大好きっ子で、子犬みたいに懐いていたそうです。
     
    気兼ねなく何でも話せる2人ですが、恋愛の話はタブー。
    なんとなく気まずくて、目を背けていた話題でした。
    それがカスミが合コンに参加したのをきっかけに存在を誇張するようになります。
    意識しすぎて気まずくなっちゃったり、合コンの邪魔をしに来たくせにいつもの親友の顔を崩さない碧にイライラしちゃったり…友情と恋愛のはざまにいるジレンマを思いっきり味わえます。
     
     
    ■ベッタリなのはカスミも同じ!?
     
    カスミ視点でストーリーが進むので、一見すると碧がカスミにべったりな印象を受けます。
    でも視点を変えたらどうでしょうか。
    一緒にいると楽だとか、気の合う友達といってカスミはカスミで碧中心の生活。
    寂しげな子犬みたいに甘えられると断れないし、新しくレストランが開店すれば「碧と一緒に来よう」とまっさきに碧の顔が思い浮かぶ。
    そしてカスミが美大に進学したきっかけも碧。
     
    碧が「美大に行く」と決心したのを聞いて、はじめてカスミの中にある何かが揺らいだ。
    もともと絵を描くのが得意だった2人なので「碧が目指すのだったら、自分も行けるのでは?」と絵の練習を始めて、気づけば大学でも同級生。
     
    「初めて碧の真似をした」とカスミは回想していますが、本当にただ美大に行きたかっただけだったのか、私はちょっと疑念を抱いています。
    いままで何でも自分の真似をしていた碧が自分で決めた「美大」という進路。
    カスミにとって、ものすごいショックなできごとだったのではないでしょうか。
    「え?碧って自分で決められる子だったの?」って。
    もしかしたら「自分と違うものを選ぶの?」と無意識に思っていたかもしれない。
    受験したなかで唯一合格したのが偶然にも碧が入学する美大だったわけですが…いくつも合格していたら、果たしてカスミは別の大学へ行ったのでしょうか。
    行かなかったんじゃないかなあ。
     
    同じ大学を合格したと聞いたら碧に「じゃあ同じ大学にしよう」と誘われそうだし、誘われてしまったらカスミはきっと<寂しげな子犬のような目>に負けてしまうだろうし。
    やっぱり今と同じ結果だろうなあ…。
    碧から離れられないのは案外カスミのほうかもしれません。
     
     
    ■恋愛ならおまかせ!の女性キャラも登場
     
    あまり恋愛に積極的でないカスミと対照的に、作中には「恋愛ならおまかせ!」な女性キャラクターも登場します。
    例えばカスミに合コンを勧めてきた友人・睦美。
    カスミのことを「恋愛偏差値低そう」といいきってしまう彼女は女子力が高く、男性経験も豊富です。
    高校のころから「いつでも恋をしていた」彼女は現在、何人もの男性と体だけのお付き合いをくり返しています。
     
    そんな睦美はいつでもバッチリとメイクをしている描写が印象的。
    特に驚いたのが「会う男性にあわせてメイクを変える」ということ。
    私は「身だしなみとしてスッピンはやめとくか」なカスミタイプの人間なので、読みながら本当にビックリしてしまいました…。
    そうか…相手に与えたい印象とか好みに合わせてメイクも変えるものなのか…。
    そりゃもちろん、その日の気分やTPOに合わせるのは分かりますけども。
    まさか男性ごとにメイクを変えるとは…ちょっと盲点でした。
    1日に何回メイク直しているんだ睦美よ…。
    とにかく、女子力はこうして磨かれるわけですよ。私にはハードルが高すぎる…!
     
     
    ■はがゆさがたまらない!ピュアストーリー
     
    「親友だからこそ」という醍醐味を存分に味わえる小説です。
    しっかり友情が根をはっていて、その延長に恋愛があるという構図がとてもいい!
    私もこういう恋愛してみたかったなあ…さすがにアラサーじゃ無理だけど…。
     
    さて、気になる碧の性別ですが…ここでは伏せておきます(何となく予想がつくと思いますが)。
    読み終わってから改めて表紙のイラストを見ると「なるほど確かに!」と納得。
    友情のようなピュアな淡い恋愛を味わいたいときにぜひ読んでみてはいかがでしょうか。