TOP > イククルコラム > 《吾輩はおっさん女子である》「恋のマニュアル」が恋愛の邪魔をした

《吾輩はおっさん女子である》「恋のマニュアル」が恋愛の邪魔をした

  • 2016年08月13日  霜降 どいや  



    誰の心にも「恋のマニュアル」ってのがあると思う。恋愛のアプローチの方法だったり、恋愛はこうあるべきだっていう恋愛観だったりのが記載されているマニュアルが。実際、恋愛を頑張っていた私の心の中にもマニュアルがあった。恋のマニュアルにはすげえ助けられた反面、そのマニュアルに恋愛を邪魔されてしまった。

     

    ・心の中の「恋のマニュアル」

    誰にでも「恋愛はこうあるべきだ」とか「どうアプローチするか」「どう振り向いてもらうか」っていう恋愛にまつわるあれやこれやが記載された「恋のマニュアル」が心の中にあると思う。今ではおっさんみたいになりつつあって恋の「こ」の字もない私だけど、恋愛を頑張っていた頃にはそういう「恋のマニュアル」を自分の中にちゃんと持っていたもんだよ。「こうなれば良いのにな」っていう憧れる理想の恋愛模様や、過去の恋愛で懲りたことを反省の意味を込めた「相手に求める条件」とか、それまでに受けた刺激や経験がもとになってマニュアルが作成されてたんだよ。

    良い意味でも悪い意味でも恋愛で何かしらの経験をするたびに、私の「恋のマニュアル」は更新・改正されていた。私でさえ何度も何度も更新される「恋のマニュアル」なんだから、人の数だけ多彩な内容のものが存在するはずだ。人の数だけ価値観や好み、理想のタイプ、それに恋愛経験が違う。「恋のマニュアル」はそれらに基づいて作られるはずだから、人によって全然違うものだと思うんだよな。

    人の数だけ異なる種類の「恋のマニュアル」があるとすれば、出会って無事に恋人として結ばれた相手のものと自分のものとが食い違うことだって珍しくない。実際、私は自分の恋のマニュアルと相手のそれとが噛み合わないどころか全然違ったから、恋愛が上手くいかなかったことだってある。

     

    ・全く違うマニュアルの持ち主が恋人になった

    出会った当初は自分の「恋のマニュアル」を満たす理想の男性と思えた。そう思ったからこそ付き合うために頑張ったし、晴れて付き合えるとなったときにはめちゃくちゃ喜んだ。だけど、喜びも最初のうちだけ。徐々に相手の恋のマニュアルが自分と全く違う事がわかった。

    私は一人の時間がないとストレスを感じまくって死にそうになるから、マニュアルには「適度に一人の時間をとってストレスを溜めないようにする」と書いてあった。だけど、相手のそれには「できるだけ可能な限り相手と一緒に過ごす」とあるらしくて、付き合ってそんなに時間が経っていないにも関わらず同棲を求められた。やんわりと断ったものの、相手はそれに納得がいかなかったらしい。「またその話かよ」とうんざりするくらいに同棲の話を持ちだされた。

    それに、その他のデートだとか生活スタイルだとか諸々のことでも、自分のマニュアルと恋人のマニュアルが食い違うこともあった。正直、付き合う際に相手のマニュアルを知っていれば付き合うことなんてなかったのかもしれないって思ってしまうレベルで、恋愛観だとか付き合う上での考え方が違った。そんな相手と恋人になってしまった事実、自分には合わない人と見抜けなかった自分自身、そして自分のマニュアルを曲げない相手にすげえ困ったんだ。

     

    ・いざという時に頼りにならないマニュアル

    当時の私はどうすれば良いのか、もう訳が分からなくなった。確かに私の恋のマニュアルには、過去の恋愛や経験それに理想に基づいた様々な事項が記載されていた。けれど、所詮書かれていることは、自分が経験したことや見知ったことだけだ。それまで、自分のマニュアルと全く違う人間と付き合ったことがない私のマニュアルには、そういう人との円滑な恋愛の進め方が記載されていなかった。

    だからこそ戸惑った。それまで頼りにしていたマニュアルが使い物にならなくなったからな。結局、その相手とは別れてしまった。自分の恋のマニュアルに基づいた恋愛ができないことに苦痛を感じたから。今振り返ってみると、「相手の男ももう少し柔軟に私に合わせてくれても良かったのにな」と思うよ。頑固な男だったなって。けれど、それと同じくらいには、当時の私は恋のマニュアルに囚われ過ぎていたなって感じるんだ。

    私は自分の中のマニュアルばかりに気を取られて、相手のことや相手のマニュアルを理解できなかったから。私が相手の男に感じたような頑固さが、私の中にもあったんだよ。相手が妥協しないのと同じように私も妥協しなければ、当然歩み寄ることなんてできないわけで。いざというときには、恋のマニュアルも頼りにならねえんだわ。

     

    ・時にはマニュアルに縛られないことが大切

    何が言いたいかっつーと、結局はマニュアルに縛られない、相手のマニュアルと妥協しあうことも大切なんだなって思うんだよな。確かに、昔の私は恋愛を進めていく上で「どうアプローチするか」「どう振り向いてもらうか」が記載された恋のマニュアルに何度も助けられた。過去の失敗や反省を上手く次の恋愛にいかせられていた。だけど、それと同時に恋のマニュアルに現在進行形の恋愛を邪魔されていたんだ。

    マニュアル通りに進めていけば成功することが多かったからこそ、マニュアルに信頼を寄せていたし、マニュアルに記載されている事項を曲げることが怖かった。マニュアルばかりに気を取られて、相手のことを受け入れようともしなかった。言ってしまえば、ばかみたいにマニュアルを頼りにしていた私だったから、恋のマニュアルに恋愛を邪魔されるような結果に終わってしまったんだ。

    未経験で想定外のことが起これば全く役に立たねえマニュアルよりも、目の前にいる相手のことを受け入れたりお互いが妥協しあって歩み寄ったりする姿勢が大切なんだよな。今さらになってようやくそう思える。ま、今のおっさんみたいな私には、恋のマニュアルなんてものはもうねえんだけど。