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「舞子ママの酔いどれ恋話」会話が続かないときって焦るわよね…

  • 2016年08月17日  水沢 舞子  



    若かりし頃、「お客様と会話が続かない」と泣きつく私に、先輩ホステスは『相手の話を聞く』『話を広げられるように情報を仕入れておく』『リアクションをとる』ということを教えてくれたわ。
    でもそれはその場を盛り上げるためのテクニックであって、会話の続け方ではなかったのよね。無言の時間って長くて辛くて苦しいもの。どうすればその時間を解消することができるかしらね。
     
     
    ホステスとして上へ行きたいなら、絶対に必要な才能が3つあるって思っている私。ひとつは“ある程度整った容姿”なんだけど、“ある程度”というところがポイントかな。ほら、あまりに美人過ぎると男は緊張しちゃうって言うじゃない? 一等地にある高級クラブのママを見たって、驚くほどの美人なんていないんだから。
    もうひとつは“甘え上手”であることよ。指名や同伴、ボトルにフード…ホステスはお客様におねだりしなきゃならないことが多いのよね。「今月、指名数が少ないから助けて」「美味しいお酒が飲みたいなぁ」このセリフが言えるかどうかで、ホステスとしての価値も変わってくるの。
    そして3つ目は“トーク力”。「最近の若者はコミュ障が多い」とか「空気が読めない」とか言われているけど、私から言わせると経験が足りないだけなのよね。まぁ、もちろんそんな私も新人の頃は会話に詰まることが多くて、たくさん泣いちゃったんだけど(笑)。
     
     
    ■会話がない…!
     
    ホステスへの道を選んだくらいだから、学生時代から私は人と話すのが大好きだったの。友達とキャーキャーくだらないことを話すのも好きだったし、学校や塾の先生と真面目なことを話すのも好きだった。素敵な出会いがあった時なんて、「よし!」と意気込んだものよ。そんな私が最初にぶつかった壁が“トーク”なの。いくら話すのが好きでも、相手の情報が一切ない状態で話す機会なんて全くなかった私は、まるでお人形。だって怖かったの、隣に座る無表情のビジネスマンが。そもそも50代のサラリーマンと、ついこないだまで高校生だった私の間に、共通の話題なんてあるわけがないのよ。
    これは社会人の皆さまにも経験があるんじゃないかしら? 飲み会で無口な上司と隣になった時、来客の相手を頼まれたとき、合コンで寡黙な男と話さなくてはならなくなったとき、彼氏の母親と対面したとき――。あげればキリがないわよね。
     
     
    ■打倒“無言!”
     
    そんな会話ベタな私だったけど、とあるきっかけがあってその闇から抜け出せることが出来たの。それは相手も会話が続かなくて気まずい思いをしていると気付いたときよ。無言の時間を楽しめる人なんて、それこそ本当に空気が読めない人だけよね。大抵の人は「どうしよう」とちょっとしたパニックになってしまうわ。私はお客様に「緊張されてます?」と尋ねたの。そしたら「少し」と苦笑い。「私もです」と伝えた時、私とお客様の間に“共感”が生まれたの。「じゃあ、のんびり話しましょうか?」と言った私にお客様もニッコリしていたわ。
     
    会話に詰まったホステスがよく使う手に“相談”があるの。特に恋愛関係の相談は長く続くし盛り上がるわね。「あの時どうしてフラれたのかわからない」という自分の体験談でもいいし、「男ってどうして浮気しちゃうのかしら?」っていう使い古された話題でもいいわ。返ってくる答えはいつも似たようなもので目新しさはないけれど、会話を続けるという意味では優秀すぎて、店内のあちこちでヘビロテされているわよ。
     
    あとは…そうね、相手の話に同意するのも大切だけど、それだけでは会話が続かないってことかしら。お客様が真剣に話していることに対して反対意見を言うのはNGよ。けれど「僕は犬が好きなんだ」といった話題に「えー、犬って可愛いですか?」と反対意見を言ったとき、相手は犬の可愛さを私に伝えようと頑張って話してくれるのよ。
     
     
    ■諦めも肝心
     
    「ありきたりだけど趣味とかあります?」「最近どこかに行きました?」と尋ねても「趣味はない」「どこにも行ってない」とぶっきらぼうな返事しかしてくれないお客様もたまにいるの。どうにかして場を盛り上げようと頑張っていた時もあるんだけど、こういう人には何を言っても無駄だって気付いたのはいつかしら。
    ホステスとしては失格だけど、「私と話すの嫌ですか?」と言っちゃったことがあるのよね〜。お客様も私の質問にはとても驚いたようで「そんなことないよ」と言ってくれたんだけど、私は納得できず「けれど全然話してくれないじゃないですか!」とさらに責めたてたの。泣くのだけは必死にガマンしてたんだけど、そんな私にお客様はタジタジだったわ…。
     
    でも、会話って片方だけが頑張ってもダメなのよね。なにかの縁があって出会った人と人が『その場を楽しみたい』って思うなら、どちらが上とか下とか関係なく協力し合わなきゃいけないと思うの。それが出来ない人に見切りをつけて場を離れるのも正解じゃないかしら。無理して頑張る必要はないわ。
    なんて偉そうなことを言ってる私だけど、「お客様相手に何を言っているの!」とママにコッテリと叱られたことは…また別の話ね(笑)。