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『元風俗嬢のエロテクBOX』人の価値は誰が決める?

  • 2015年04月20日  本田 あい  



    『人の価値』という言葉がこの世には存在します。「人の価値は〜で決まる」とか「○○を持っているだけで女の価値が上がる」とか…誰が考えた“価値観”なのかわからないモノに、時折私たちは左右されているような気がします。
    今回はそんな『価値』についてのお話です。
     
     
    ■「価値のある女」だった私
     
    私が最初に働いたお店はシャワーや個室のない“ピンサロ”というお店でした。1人あたりの接客時間が短く、ドンドンお客様を回転させていくのですが、1人の男性をイカせて私の手元に入るお金は約5000円でした。
    3か月ほどして系列店の“ヘルス”へ移動。“ヘルス”はシャワーを浴びる時間があるので、だいたい60分接客して8000円が私の手元に…という感じでした。1年ほど働いたのち、“高級ヘルス”へ移籍したのですが、90分の接客で3万円いただいていました。“ピンサロ”で働いていた時は月に60万ほどだったお給料が、100万200万と増えていく…、そうなるとお店のスタッフさんの対応も変わってくるのです。
     
    何でもない日にお店からブランド品を貰ったり、店長や社長から食事に誘われたり、10万単位の小遣いをいただいたり…。またランキングが上がると不思議なことに、お客様からの評価や扱いに変化があるのです。どっちが客でどっちが風俗嬢なのかわからない…つまり、お客様に選んでもらっているという謙虚な気持ちが薄れ、態度が横暴になっていく…。
    風俗という特殊な世界に住む大人の価値観に、20歳前後だった私は完全に踊らされた結果、恥ずかしながら私は自分のことを「イイ女!」「価値のある女!」と心の底から思っていたのです。
     
     
    ■裏を返せば「価値のある女」も…
     
    そんな私を蹴落とす事件が起こりました。私はボーイズバーで働く男性に恋をしていました。仕事仲間とよく訪れていた場所だったので彼は私の職業を知っています。私と彼はすぐに意気投合し、互いの友人などを交えながら何度も遊んでいたのですが、ある日彼は自分の友人に「コイツにフェラしてもらおうと思ったら、3万円出さなきゃいけないんだぞ」と私のことを紹介したのです。友人は「え…?3万円で…?」と軽蔑したような顔をしましたが、彼はとっても自慢気。私は恥ずかしくて恥ずかしくて、この日を境に彼とは縁を切りました。
     
    私が恥ずかしかったのは、風俗で働いていることをバラされたからではありません。見知らぬ男性に「3万円でフェラして」とお願いされたとき、OKを出す女性が何人いるだろうと考えてしまったからです。
    風俗業界にいる女性や、男性とセックスすることに抵抗のない女性であれば、この3万円は高額だと思うでしょう。私だってそう思っていたから「自分は価値のある女」だと思っていたのです……。しかしよく考えてみてください。この世にはいくら大金を積もうが異性に裸を見せることを良しとしない女性がたくさんいます。あなたには「100万円積まれたって、あの男とだけは手を繋ぎたくない!」と思う知人や芸能人はいませんか? 私たち風俗嬢はそういった男性でも、お客様としてお店に来られれば、フェラせざるを得ないのです。
    つまるところ、風俗業界では「価値のある女」だった私ですが、一般社会に出れば「3万円でフェラしてもらえる女」だったというわけです。
     
     
    ■価値感とは?
     
    好きだった彼は私のことを、3万円出さないとフェラしてもらえない「価値のある女」と思っていましたが、彼の友人にとっての私はたった3万円でどうこうできてしまう「価値のない女」だったという事実…。
    自分には人としての価値がないと思った私は、この事件をきっかけに風俗嬢を引退。それからは風俗嬢を支えるアドバイザーとして働くことになりました。新人さんがお店にやってくるたび、私はこの話をします。
     
    価値観とは、何が大事で何が大事でないかという判断をすること。自分にとってはくだらないものでも他人にとっては大切なものだったり、また他人にとっては無意味なプライドだとしても、自分にとっては生きていく上でとても重要なものだったりもするわけです。
    人というのは、同じ価値観を抱く人同士で集まる傾向にあります。同じブランドの服が好きだったり、同じ系統のアーティストが好きだったり、ライフスタイルが被っていたり…。そういう人と共感しあい喜び合うのも楽しいのですが、時には他人から見た自分の評価に耳を貸すことも大切です。
     
    私には風俗業界で働いている&働いていた友人も多いですし、スカウトさんや風俗店のオーナーさんとも今だに親交がありますが、決して『人の価値』が上がる世界だとは思っていません。風俗嬢の中には「自分の仕事に誇りを持っている!その価値観があれば、誰に何を言われようといい」と言う人もいますが、世間一般の目から見ると、セクシー女優や風俗嬢は誇れる仕事ではないのです。そのことだけは絶対に知っておかなければいけないと思いますし、知ったうえで働かないと、過去の私のように恥ずかしい目に合うでしょうね…。