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【パッカー海未の恋愛放浪記】シーシャの煙は恋の味@スペイン

  • 2015年02月10日  空山 海未  



    スペインの安宿で初めて味わったシーシャの味。たまたまその味をわたしに教えてくれたスペイン人の男の子は陽気で明るく周りを照らしていました。ストロベリー味のシーシャはわたしにとって恋の味がしました。

     

    ●スペインの安宿で突然のパーティー

    スペインで泊まった安宿は、スタッフがみんなとても親切でした。わたしはしばらくバルセロナに滞在して、マドリードへ遊びに行ったあとも、バルセロナに戻ってきて再びその宿に滞在することにしました。どうやらその宿は、世界各国から集まってくるバックパッカーだけではなく、スペインの他の地域からくるスペイン人にも人気の宿のようでした。ぽかぽかと暖かいスペインの気温と雰囲気が大好きで、ついつい長く滞在してしまいました。ある金曜日にその宿で、スタッフのお兄さんがリビングで上機嫌に夕食の準備を始めました。隣で見ていたわたしに、「君も一緒にどう?」と声を掛けてくれたので、もちろん参加!どんどん出てくるワインとおつまみ。スペインはお酒も食べ物もおいしくて最高〜なんて思っていたわたしの前に現れたのは、やや周りより若く見える男の子。どうやらスタッフのお兄さんは普段休みの日がないので、金曜日の夜に友人を自分の宿に招いてパーティーしているようです、なんて自由なんだ…

     

    ●夢を追いかける

    ふと目があったその男の子の名前はレオン。歌手を目指しているという19歳、そんな年齢には見えないくらい大人っぽい顔立ち。とても綺麗な顔だったので、思わずじっと見とれていると、ちょっと照れながらいたずらっぽく笑ってくれます。か、かわいい。わたしにとって歳下は恋愛対象ではなかったのですが、これはやられてしまいそう…。歌手を目指しているというレオンは、気が付くとなにか歌を口ずさんでいました。その声もまた素敵で。みんなでわいわい騒いでいると偶然近くにレオンが来てくれたので、レオンの将来の夢のことについて話しました。バルセロナでオーディションを受けに来たという彼は、今まで受けたオーディションで何回も優勝できずに悔しい思いをしてきたけれど、どうしても歌手になるという夢が諦めきれず、こないだスカウトされたモデル業をステップにして、そこから歌手を目指すんだとか。目標のために、さまざまな方法を探して懸命に努力する彼の姿を歳下ながらも素直にかっこいいと思いました。

     

    ●初めてのシーシャ

    ふといなくなったレオンが、「ナツミ!シーシャ!」と言いながらにこにこ近づいてきました。宿の外にある離れのような小さな小屋に、レオンはわたしの手を引いて連れて行きました。ちょっとドキドキしながら扉を開けると、そこにはシーシャとふんわり香るストロベリーの甘い匂い。人生で初めて吸う!とわたしがレオンに伝えると、ちょっとびっくりしたように、シーシャの吸い方を教えてくれました。日本ではあんまり水タバコはメジャーじゃないんだよ。というと、そりゃ君はぜひこれを持って帰るべきだよ。って言いながら、シーシャの煙を吐き出すレオンの横顔がとっても大人っぽくて。シーシャの煙のせいで、小屋の中はもくもくと薄い煙が立ち込めていたので、わたしは不自然にならない程度にレオンの顔をじっと見つめることができました。ふと煙の中から現れるレオンの手がそっとわたしにシーシャのパイプを握らせて、耳元で「吸ってみて!」とささやかれました。

     

    ●シーシャの煙は恋の味

    まったく、イケメンは何をしても絵になるからずるいよなあ、なんて思いながら初めて口にしたシーシャは、ストロベリーの甘い香りと甘酸っぱい恋の味でした。「君と出会えて良かったよ!」って嬉しそうに言ってくれるレオンに、ぼんやりと淡く色づく煙の中で抱きついてしまいたい気持ちを抑えるのにわたしがどれだけ必死だったか!今日出会ったばかりなのに、こんなに惹きつけられるなんてシーシャにはタバコ以外の何かが入っていたんじゃないかしら。歳下に、それを悟られるのもなんだか恥ずかしくて、思いっきりシーシャの煙を吸い込み、思わず咳き込んだわたしの背中をそっとさすってくれて、「しばらくおあずけだね!」ってパイプをわたしから取り上げるレオン。結局そのまま深夜まで、二人でぽつぽつ話しながら、代わりばんこにパイプをふかしたシーシャの味は、今も忘れられません。その次の日レオンは宿を去っていったけれど、ついこの間、オーディションに合格して念願の歌手になるための第一歩を踏み出したよ!って連絡が来て、久しぶりにシーシャの味を思い出したのでした。