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【海未の恋愛放浪記】プレゼントは骨董品@アゼルバイジャン

  • 2015年03月03日  空山 海未  



    トルクメニスタンから、カスピ海をフェリーで越えてたどり着いたのは、コーカサス最初の国アゼルバイジャン。思わず恋しそうになったイケメンは、今は質屋兼お土産屋さんを営む素敵なおじいちゃんでした。

     

    ●宿探しのお手伝い

    あっという間にトルクメニスタンを抜けて、フェリーでカスピ海を越え、アゼルバイジャンに到着したのは夕日が沈みかけた頃。フェリーを降りて、タクシーで市街地まで向かいました。あたりはどんどん暗くなり、綺麗な夜景を眺めながら今晩の宿を探して旧市街を歩き回っていると、突然声を掛けてきたのがそのおじいちゃんでした。宿を探しているんでしょ?と一緒に、わたしが持っていたホテルカードの住所を探してくれました。なかなか見つからないので、一晩なら家に泊まってもいいよ、なんて有難いことを言ってくれましたが、すでに予約してしまっていたので丁重に断りました。おじいちゃんと言えども、今そこで出会ったばかりの外国人の家に泊めてもらうのはあまりに危機感がなさすぎると考えたからです。なんとか見つかった宿の前でお礼を言うと、明日お店においでね!と爽やかに微笑んで去って行きました。

     

    ●若かりし頃のイケメン

    次の日の夜すぐに、列車で次の国に行く予定だったので、夕方おじいちゃんのお店に挨拶に行きました。アゼルバイジャンの首都バクーの街並みはとても綺麗で都会的で、なんだかわたしはあの温かそうで爽やかなおじいちゃんの笑顔がもう一度見たくなったからです。お店にいたおじいちゃんは、わたしの顔を見るなり、奥座りなさいお茶飲みなさいお菓子食べなさいとものすごい歓迎ムード。ただちょっと昨日のお礼を言いに来るはずが、日本の親戚の家に久々に遊びに来たみたい。ここが観光地になるずっと前から、質屋さんを営んでいるんだよという話を聞いていると、おじいちゃんに来客が。暇を持て余したわたしを気遣って、おじいちゃんが渡してくれたのはずいぶん古く見えるファッション雑誌。その表紙にいた爽やかなイケメンに思わず恋してしまってじっと見とれていると、戻ってきたおじいちゃんは照れながら、それは自分だよと言いました。信じられずに聞き返すと、他にも写真が載っている雑誌や、当時のお店で撮った写真を見せてくれました。どうやら本当のようです。おじいちゃん、あと30年若返ってください‼︎

     

    ●プレゼントは骨董品

    わたしが持っていてももったいないから、日本に帰ったらこれを売って君の旅の資金にでもしてね、とどうやら古い日本のものと思われるハガキや切手を山ほどプレゼントしてくれました。見せてくれたもので、わたしが喜ぶものは全部くれようとするので、慌てて断るのに必死でした。プレゼントしてくれるものが全て、日本の某有名テレビ番組で鑑定できそうな骨董品であったのには思わず苦笑してしまいました。中には、100年以上前の日本の骨董品や、どうやって使うのかわからない古くて大きいカメラ、旧ソ連時代の山ほどのピンバッジなど、いつか歴史の教科書で見たようなものまでありました。君に出会えて本当に幸せだよ!とにこにこしながらあれこれもてなしてくれるおじいちゃんを見て、あなたの若いうちに出会いたかったですと心の中で惜しんでいると、突然おじいちゃんが言いました。

     

    ●「俺の息子と結婚してくれないか。」

    そんな言葉に、もしかして息子さんもイケメンかもしれない!と期待してしまったわたしは、即座に断ることもできず、おじいちゃんが電話をかけるのを見ていました。しばらくして、お店の前に現れた人影。僕が息子です、という声にドキドキしながら顔をあげると、遺伝子の不思議。全く若かりし頃のおじいちゃんの面影のない、いかつくがっしりとした若い男性が立っていました。しばらく2人で話をしたあと、おじいちゃんにはこっそり、まだわたしは結婚を考えられる年齢ではないからと遠回しに断ったのでした。列車の時間も迫っていたので、そろそろ出発すると伝えると、駅まで送ってくれるという息子さん。プレゼントでもらった山ほどの骨董品とバックパックをわたしの代わりに背負ってくれて、とても頼もしかったけれど、若い頃のおじいちゃんがずっとわたしの頭から離れませんでした。別れ際に、またいつか会えますようにと、息子さんがわたしにくれたのは、キラキラと輝く素敵なピアスでした。残念ながら、ピアス穴のあいていないわたしの耳には付けられず、バックパックの奥で骨董品と一緒に眠っているのでした。